児童養護施設入所児の37%に障害 増加傾向でニーズは複雑化〈厚労省調査〉

2020年0210 福祉新聞編集部
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 厚生労働省が1月31日に発表した「児童養護施設入所児童等調査」で、児童養護施設に入所している子どもの37%に何らかの障害などがあることが分かった。2015年の前回調査から1割増加した。一方、虐待経験があるのは66%に上っており、厚労省は「個別のニーズに合わせた質の高い養育が必要」としている。

質の高い養育必要

 調査は、社会的養育の対象となる子どもの実態を明らかにしようと5年ごとに行っているもので、18年2月時点で調べた。対象の子ども数は5万5315人で、内訳は児童養護施設が2万7026人、乳児院が3023人、里親が5382人など。

 

 平均年齢は、児童養護施設が11・5歳、乳児院が1・4歳、里親が10・2歳。ただ、委託時の年齢を見ると、児童養護施設が6・4歳、乳児院が0・3歳、里親が5・9歳だった。

 

 子どもの心身の状況について障害などがある割合は、児童養護施設が8ポイント増の37%、乳児院が2ポイント増の30%、里親が4ポイント増の25%とすべて前回よりも上昇した。

 

 障害の内訳(重複回答)を見ると、児童養護施設では知的障害(14%)が最も多く、自閉症スペクトラム(9%)、注意欠陥・多動性障害のADHD(同)、反応性愛着障害(6%)の順。乳児院では身体虚弱(14%)が最多で、知的障害(5%)、言語障害(3%)と続いた。里親も知的障害(9%)、自閉症スペクトラム(7%)、ADHD(6%)が多い。

 

 一方で虐待経験のある子どもも、児童養護施設が66%、乳児院が41%、里親が38%と、すべて前回より上昇した。特に、児童養護施設の子どもが受けた虐待(複数回答)は、ネグレクトが63%と最多で、身体的虐待が41%、心理的虐待が27%、性的虐待が5%だった。

 

 また、児童養護施設にいる子どもの進路については、中3の高校への進学希望は87%、中3以上の大学や短大への進学希望は32%といずれも前回より微増している。

 

 このほか調査は里親の状況についても調べた。里親の年齢は、里父も里母も50代以上が半数を超えた。委託児童は1人が76%と圧倒的に多く、2人が19%、3人が4%、4人は1%に過ぎなかった。

 

 里親家庭の平均年間所得は594万円で、一般家庭の552万円を上回る。里父の仕事は「専門・技術」(16%)が最も多く、「宗教家」(11%)、「就業していない」(10%)の順。里母は「就業していない」(45%)、「社会福祉事業従事者」(7%)、「宗教家」(同)と続いた。

 

 また、今回初めて社会的養育の子どものLGBTについても調査した。その結果、児童養護施設と里親家庭でいずれも0・1%該当したという。

 

 調査結果について、厚労省子ども家庭局家庭福祉課は「社会的養育において、心身に障害のある子や虐待を受けている子の割合は年々増えており、子どものニーズは多様化・複雑化している。今後も質の高い養育体制を整えることが必要だ」と話している。

障害児施設も同時に

 また、今回から障害児入所施設の状況についても、政府統計として初めて同時に公表した。今回の調査に回答した施設は429カ所。子ども数は9632人で、このうち措置が4984人、契約が4409人だった。

 

 心身の状況に障害がある割合は98%が該当し、内訳(複数回答)を見ると、知的障害(75%)、自閉症スペクトラム(25%)、重度心身障害(22%)、てんかん(21%)肢体不自由(16%)などが挙がった。

 

 また、虐待経験は全体の38%に上った。内訳(複数回答)はネグレクトが24%、身体的虐待が17%、心理的虐待が6%、性的虐待が2%だった。

 

 

 

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