〈台風19号 その後〉NPOと共同で被災者の生活再建へ 那須烏山市社協・栃木

2020年0220 福祉新聞編集部
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納屋や庭から出たゴミを処理場へ運ぶNPOのメンバー

 2019年10月12日、日本列島に上陸した「令和元年台風第19号」。被害は広範囲に及び、全国各地の社会福祉法人も甚大な被害を受けた。被害に遭った法人がどのように再建の道をたどったのか。復興支援に取り組む社会福祉協議会の動きとともに、各法人が直面した災害リスクとの向き合い方を探る。

 

 栃木県那須烏山市では、市社協(丸山眞一会長)がNPOなどと共同で「なすから暮らし復興支援センター」を立ち上げ、独居老人などの生活再建を支えている。

 

 同市は、市内を流れる那珂川と江川が氾濫し、4地区・210棟が床上・床下浸水した。市社協は10月14日に災害ボランティアセンター(VC)を立ち上げ、自力での片付けが困難な独居老人や高齢世帯のゴミ出し、清掃を行った。災害VCは11月29日までの約1カ月半で、50件のニーズに対応し、延べ278人が活動した。

 

 災害VCの活動が進む中、4地区の自治会長から市社協に寄せられたのが、独居老人宅などの納屋、庭、家庭菜園などに流れ込んだゴミ処理の相談だった。災害VCは、災害救助法の住宅改修の適用を受けられるように家屋の片付けをするまでが活動範囲で、納屋や庭の片付けまではしていなかったからだ。

 

 相談を受けた市社協は「生活再建には家屋の片付けだけでは不十分な人がいる。家庭菜園ができれば、生きがいや閉じこもり防止にもつながる」と考え、復興センターの立ち上げに着手した。

 

 ちょうど里山再生に取り組む隣町のNPO「トチギ環境未来基地」が同様の支援を考えていることを知り、共同での設立を検討。NPOやボランティア団体に協力を呼び掛け、9団体が事業主体・協力団体として参加した復興センターを11月21日に立ち上げた。

 

 要支援世帯やニーズの把握は、自治会長が社協に連絡。社協職員が被災者宅を訪問して確認する。実際の活動は、事業主体代表の環境未来基地が協力団体に連絡して、場所・人数などを調整。毎週火・木・日曜日の午前10時から午後3時まで行う。

 

 床上1・8メートルの浸水被害を受けた高齢世帯のAさんは、災害VCの支援で自宅の片付けは済んだ。ただ、庭は泥だらけで、趣味の盆栽約1000鉢も泥まみれで途方に暮れていた。しかし、復興センターが庭と盆栽を掃除してくれたことで生きがいが復活。「今は盆栽の新芽が出る春になるのが楽しみ」と喜んでいる。

 

 復興センターは2月11日までに30件のニーズに対応。後片付けに10人がかりで3日間かかったケースもあり、延べ活動人数は災害VCを上回る388人になった。

 

 人件費やガソリン代などの活動費は、共同募金の災害ボランティア・NPOサポート募金の助成金240万円を充てており、環境未来基地の塚本竜也代表は「活動できるのも助成金のおかげ。活動を通して新たなつながりもできた」と、社協との連携によるスムーズな活動について話した。

 

 また、市社協の山村浩之・地域福祉係長は「災害VCがどこまでやるのか判断は難しいが、家屋の片付け以外のニーズもあると思っていた。NPOや自治会などとの協働で被災者の生活再建に役立ててよかった」と話す。

 

 復興センターへのニーズもほぼ収束してきており、18日には活動を終了する予定だ。

 

 

 

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