成年後見の報酬算定は2階建てで設定 最高裁が考え方を示す

2020年0312 福祉新聞編集部
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後見人の報酬算定を議論した厚労省主催の専門家会議 

 認知症など判断能力が不十分な人を支援する成年後見制度をめぐり、最高裁判所は2月27日、後見人が被後見人から受け取る報酬の算定方法を同日の成年後見制度利用促進専門家会議(座長=大森彌・東京大名誉教授)で説明した。報酬の構造はどの事案でも必ず行う「基本的事務」と、必要に応じて行う「付加的事務」の2階建てで設定する考えだ。

 

 最高裁の担当者は「あくまでも大枠の考え方で、今後変更があり得る」とした。報酬の額は示さなかった。今後も検討を重ね、各家庭裁判所が報酬を決める際の目安としたい考えだが、確定する時期は未定という。

 

 基本的事務は「財産調査」「生活状況の把握」といった事務を含み、そのすべてをひとまとまりとして報酬を算定する。仮に一部の事務をしなかった場合は報酬を減額する。

 

 一方、後見人が被後見人の生活を把握するために頻繁に面会しても1回だけ面会しても報酬は増減しない。

 

 付加的事務に当たるのは「不動産売却」「遺産分割協議」「福祉サービスの利用契約」「生活保護や介護保険の申請」など。財産管理の事務は、被後見人の得た経済的利益も考慮して報酬を算定する。

 

成年後見人の報酬算定の考え方

 

 福祉サービスの利用契約を付加的事務に位置付けることには懸念の声がある。資力の乏しい人が福祉サービスの利用を必要としても、契約事務分が後見人の報酬に上乗せされるのを避けようとサービス利用しないことがあり得るからだ。

■利用促進に必要

 報酬の算定方法を最高裁が示したのは、制度を利用する側が事前におおよその報酬を知ることが制度利用を促す上で必要と考えたからでもある。

 

 現在は後見人が実施した事務をもとに、家裁が後から報酬額を決めている。報酬は月に2万~3万円が相場とされる。成年後見制度開始から20年を経ても利用が伸びず、周知されていないことがかねて指摘されている。

 

 報酬算定の根拠が不明確なこともその要因の一つと見られ、「家裁が個別に報酬を決めるやり方には限界があるのではないか」(花俣ふみ代・認知症の人と家族の会副代表理事)と見る向きもある。

 

 なお、厚生労働省は成年後見制度の申し立て費用や後見人への報酬の助成制度の有無などを全市区町村から聞き取り、その一覧資料を同日の専門家会議で公表した。助成制度の実態が明らかになるのは初めて。

 

 

 

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