「新型コロナの影響は大きい」 障害福祉事業所の花屋さん(埼玉) 

2020年0317 福祉新聞編集部
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パンジーの花苗を育てる利用者

 埼玉県富士見市の社会福祉法人入間東部福祉会の障害福祉サービス事業所「入間東部むさしの作業所」(小菅賢一施設長、定員51人)は、年間約30万鉢の花苗を育てている。卒業式・入学式シーズンには、約70カ所の小学校などから壇上に並べる飾り用鉢花の注文を受けるなど〝地域の花屋さん〟として広く認知・信頼されている。

 

 同作業所は1981年の開所時から花苗を販売してきた。当初は木工、工芸、地域交流との4班体制の活動だったが、2003年に園芸部と屋外作業が苦手な人向けの製造部の2部体制に再編した。「重度の人も高い工賃がもらえるよう、収益性が最も良い花販売を生産活動のメインに据えた。大規模化すれば、重度の人にもできる仕事が増えると考えた」と小菅施設長は話す。

 

 実際、15種類・30万鉢の花苗を育てるには、トレーにビニールポットと土を入れたり、トレーを運んだり、水やりなど重度の人ができる仕事が多かった。苗の植え替えや肥料やりなど軽度の人が担う作業とうまく役割分担できているという。

 

 花苗は、学校や公園の花壇、卒業・入学式用の鉢花として販売される。公園の花壇は、年4回の植え替え作業も委託されている。また、同市や三芳町のふるさと納税の返礼品としても活用されている。

 

 花苗だけではない。同作業所は、花市場のセリ参加権を持ち、切り花などを独自に仕入れ、同町で経営するフラワーショップ「ふれんず」、市役所の売店などで販売している。病院や福祉施設など約70軒の顧客に受付用花の定期配送もしており、どんな注文も対応できるという。

 

フラワーショップ「ふれんず」

 

 

 花販売の年間収益は約1500万円で、就労支援B型事業利用者の平均工賃は月額2万4500円(18年度)。目標の3万円達成のために年間および毎月の売り上げ目標を定め、営業担当職員を2人置き、約300社・団体ある取引先のさらなる拡大を目指している。

 

 今年度は、台風19号で1万鉢が水に漬かり、新型コロナウイルスによるイベント中止で花販売ができなくなった。卒業式用の花鉢のキャンセルはまだないが、送別会や彼岸用の切り花の売り上げ減は必至で、目標達成は難しいという。

 

 「朝7時のセリも職員と利用者が一緒に行き、営業も全職員が行うなどみんなが同じベクトルを持っている。新型コロナウイルスの影響は大きいが、花を通じて地域に笑顔を届けたい」と小菅施設長は話している。

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