煎餅会社の後を継ぐ障害福祉事業所 地域とのつながりの中から始まる

2020年0327 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
「さくら」の記事を丸く伸ばす利用者

 岩手県北上市の社会福祉法人方光会(及川芳史理事長)の障害福祉サービス事業所「北萩寮」(就労移行支援6人、就労継続支援B型34人)は、地域とのつながりを大切に納豆や南部煎餅を製造・販売している。

 

 納豆作りは、2004年の施設開所時から始まった。施設名の「萩」がマメ科の植物であることから、豆を使った自主製品作りに取り組んだ。県産大豆「すずほのか」「リュウホウ」を使い、「きたかみ納豆」として小粒・しょうゆ(45グラム×3パック95円)、同・みそタレ(108円)、大粒(108円)を作っている。

 

 生産量は1日2000パックで、市内のスーパー、温泉旅館・ホテルなどに納品している。また、ふるさと納税返礼品にも採用され、11~3月には毎月2000パックが使われる。

 

 南部煎餅は、納豆作りなどを通して育んだ地域とのつながりの中で、後継者がなく廃業する煎餅会社の後を継ぐ形で始まった。同様の理由で別会社も廃業したため、今では同市内で唯一南部煎餅を作る事業所になった。

 

 薄焼5種(黒ごま、ピーナッツ、さくら、しょうゆ、一味)、厚焼4種(ピーナッツ、白ごま、くるみ、カボチャ)のレシピや焼き方は、煎餅会社から教えてもらった。しかし、旧型のガス焼き機は火加減が難しく、うまく焼けるようになるまでは3年かかった。

 

南部煎餅のパッケージ

 

 南部煎餅作りは、県産小麦粉と塩を混ぜた生地をこね、小さく切り分けた後、ごまなどを表面に付けながら丸型に成形して焼きあげる。同じ重さに切り分ける作業と焼きの作業を除いて、袋詰めなど多くの工程を利用者が担う。

 

 他地域の南部煎餅と違うのは、東北3大桜の名勝地・北上展勝地にちなみ桜パウダーや桜葉の塩漬けを練り込んだ「さくら」の薄焼きがあることだ。

 

 生産量は1日2000枚。2枚入り62円~103円で、駅前の観光物産館、道の駅など10カ所に卸しており、北上市を代表する土産物になっている。

 

 「方光会の理念は『感謝と共生』。法人創設以来、地域とのつながりを大切にしてきた。これからも続けていきたい」と話す及川理事長。地産地消、地域振興などに貢献しつつ、平均工賃月額2万5000円のさらなるアップを目指している。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加