全国初となる24時間開所の夜間保育園 働き方の多様化でニーズ高まる(東京)

2020年0402 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
お泊まりの園児を寝かしつける保育士さん(エイビイシイ保育園提供)

 夜遅くまで働く保護者の子どもを預かる「夜間保育所」。働き方の多様化に伴いニーズが高まる反面、認可の夜間保育所は全国で81カ所と数少ないのが現状だ。全国初となる24時間開所の認可保育園に実態や課題を聞いた。

 

■夜間保育の実態は?

 東京都新宿区の歌舞伎町に隣接した大久保にある「エイビイシイ保育園」。

 

 夜間保育所の保育標準時間は午前11時から午後10時までが基本。同園はそれ以外の時間帯を延長保育で対応する。定員は90人。お泊まりの園児は1日平均30人ほどで、保育士4人が対応する。迎えに来る時間はまちまちで、深夜2時ごろまでお迎えラッシュが続く。

 

 「夜まで子どもを預けるなんて発達に悪影響だ」「水商売の子ばかりでしょ」――。こういった偏見や差別と闘ってきた片野清美園長は「実態は全然違う」と言葉に力を込める。
 同園を利用する保護者の職業は国家公務員から医師、マスコミと幅広い。遅くとも午後3時ごろから利用してもらい、日中元気に遊びまわった園児も夜になると安らぎの時間に移行。晩御飯を食べ、入浴して午後8時ごろには就寝と規則正しい生活を送る。

 

 「さまざまな体験を通じて心身ともに健康に育ってほしい」。同園ならではの工夫も目立つ。

 

 食育の一環で、食材から調味料に至るまで有機や無農薬のものを使用。アトピーに悩む子どもが少なくなったと感じている。

 

 このほか、3歳児以上には英会話や造形などのプラグラムを無償で提供するほか、田植えや遠足といった行事も盛りだくさんだ。

 

■高い職員の定着率

 約50人いる保育士のほぼ全員が正規職員。勤務はシフト制で全保育士が月に約4日の夜勤を伴うが、保育士の確保、定着は好調だ。

 

 なぜか。夜間保育への信念や園の理念に共鳴する保育士が全国から応募してくるため、熱意が高く、すぐに辞めることが少ない。6割近くが都外出身者で、10年以上勤める職員がほとんどだ。

 

 また、職員配置は国の基準よりも手厚い上に、経験年数に応じた深夜手当を支給するなど福利厚生の充実も、定着の大きな要因になっているという。

 

■少ない財政支援

 夜間保育を運営する上で課題もある。「財政支援の手薄さに尽きる。これでは意欲ある認可保育所も、夜間保育に踏み出せない」。

 

 深夜手当を含む人件費や夕食提供のための費用など、夜間保育には日中では発生しない多くの経費が掛かる。

 

 国による委託費での夜間保育加算のほか、都と区の独自補助も活用して、「ようやく運営が成り立っている」という。

 

 国は来年度、夜間保育加算の拡充や、夜間延長する夜間保育所向けの補助基準額を創設する方針。「改善はありがたいが、支援制度自体を抜本的に見直すなど思い切った策を講じてほしい」。

 

 こう切望するのも、ベビーホテルに比べ、認可夜間保育所が圧倒的に少ないからだ。都内では同園以外に1カ所しかない。

 

 「質が担保された夜間保育所を増やすことが、保護者の安心、少子化の解消につながる」。今後も実践を通じて、夜間保育の拡大に尽力していくつもりだ。

 

    • このエントリーをはてなブックマークに追加