〈熊本地震から4年〉慈光会に新施設完成 八角形の屋根を復興のシンボルに

2020年0420 福祉新聞編集部
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施設の外観。八角屋根の多目的ホールがある

 2016年4月に発生した熊本地震から16日で4年を迎えた。震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町の社会福祉法人慈光会(永田啓朗理事長)では、全壊した老人保健施設が新たにオープン。八角形の屋根が特徴の新施設は、益城町復興のシンボルになればという思いが込められている。ただ、新型コロナウイルス感染症の影響で竣工式などはすべて中止に。これまで支えてくれた人々への感謝をかみ締めながらの静かなスタートとなった。

 

築20年の旧施設

 「あっという間の4年。感謝しかない」――。永田理事長はこう振り返った。

 

 かつての老健施設「ケアポート益城」は築21年の3階建て。一部土地を埋め立てていたため地盤が緩み、運営できなくなった。

 

 

 地震の当日午後に本紙が取材に入ると、隣接する特別養護老人ホーム「ひろやす荘」に地域住民が200人以上避難して大混乱に。永田理事長は「夜中に職員が駆けつけてくれた。きっと再建できる」と語っていた。

 

 その後59人いた利用者は1カ月ほどかけ、県内30カ所の老健などへ移動。職員は被災による特例解雇となった。「利用者家族による再開を望む声が後押しとなった」と永田理事長は話す。

 

三角屋根の新施設

 定員60人という新施設は2階建て。埋め立て部分を削った下に建てたのが特徴で、2階からも外へ簡単に避難できる。「地震の時、職員は命をかけ階段で避難させた。あの恐怖は2度とさせられない」と永田恭子・同荘施設長は語る。

 

吉住さん(左)と永田施設長

 

 また今後地域住民にも開放するという多目的ホールも目をひく。八角形の屋根は復興のシンボルにという思いが込められている。

 

 4月1日時点では30人が入所。職員は45人で、うち3分の1は旧老健にいた職員だ。法人本部の松崎保仁課長らが定期的にOB会を開くなど連絡できる関係を築いていたという。「新老健のオープンを知らせると多くの元職員が応じてくれ、ありがたい」と松崎課長は言う。

地域の輪

 新施設の一角にできる「地域総合支援室」にも期待がかかる。

 

 地震をきっかけに慈光会は、運動やウオーキングの教室、子どもが習字を学ぶ「寺子屋」などを地道に続けてきたという。「医療や福祉の枠を超え地域ニーズを実現するのが役割」と同室の吉住慶太さんは狙いを語る。

 

 そうした活動は口コミで広がった。18年10月から1年間の参加者は延べ8600人と2年前より6倍以上に。19年には住民らとNPO法人も立ち上げた。

 

 現在の大きな課題は高齢男性の居場所づくりだという。吉住さんは「企業や大学も含めさまざまな社会資源を掘り起こし、法人の枠を超えて町をプロデュースできれば」と力を込める。 

 

 当初、多くの関係者とともに新施設の竣工式を開催する予定だったが、新型コロナの影響で中止に。永田施設長は「静かなスタートとなった。なくしたものは大きいが大切なものも増えた」と話す。新施設の誕生は、慈光会だけでなく、益城という地域の復興にもつながりそうだ。

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