障害者作業所、自粛手探り 電話や訪問で代替する方針

2020年0421 福祉新聞編集部
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地元のお客さんに親しまれる喫茶店の「むすび」(横浜市)

 新型コロナウイルスに関する特措法と政府の緊急事態宣言により、対象地域の知事は感染拡大を防ぐため、通所の福祉サービスの使用制限を要請できることになったが、神奈川県は4月10日、事業継続を求めるリストに位置づけた。それでも障害者が日中に通う作業所の一部は、活動の自粛を開始した。作業所は密閉・密集・密接のいわゆる「3密」になりがちだからだ。職員は利用者への電話や訪問で代替する方針だが、どこまで不安を払拭ふっしょくできるか気をもんでいる。

 

 「人と人を結ぶから『むすび』というのにね」「来週から一人きりの時間が増えるね」――。市町村事業の地域活動支援センター「むすび」(田上幸子施設長・横浜市)では11日、利用者・職員が休憩時に手巻き寿司をほおばり、〝しばしの別れ〟を惜しんだ。

 

 コーヒーやおむすびを提供する作業所として地元住民にも親しまれてきたが、運営するNPO法人あすなろ会(渡部久二理事長・横浜市)は13日から、「むすび」を含め精神障害者が通う3つの作業所で作業を自粛した。計78人の利用登録者に影響する。

 

 約40年前に開設した老舗の作業所もその一つだ。渡部理事長は「通所を受け入れないと決めたのはこの40年で初めて。食品を扱う作業もあるので感染リスクが高いと判断した。とはいえ、利用者さんの生活リズムを崩してはいけないので、職員は休まず、いつでも対応できるようにした」と話す。

 

 自粛期間は緊急事態宣言の終期(5月6日)まで。通常の作業はしないが、職員は利用者に電話したり、必要に応じて自宅を訪問したりして不安を取り除く方針。「休業ではなく活動の自粛」とするのはそのためだ。

 

 むすびの田上施設長は「一人ひとり置かれた状況が違うので、どうフォローできるか手探りでやるしかない」と気をもむ。

 

 問題はこうした取り組みをした結果、事業所に障害報酬や市の補助金が通常通り支払われるかどうかだ。

 

 厚生労働省は緊急事態宣言に関連し、「事業所ができる限りの支援をしたと市町村が認める場合、同等のサービスを提供したとして報酬の対象にできる」と通知した。

 

 判断を委ねられた市町村は、その判断基準作りに追われる。横浜市は8日、通所系サービスの利用者が感染防止のため通わない場合、事業所が電話や訪問など代わりのケアをして報酬算定するための要件を10項目掲げて通知した。

 

 5月6日までの臨時措置で、市は「常識的な対応をして頂ければ結構」(障害施設サービス課)とするが、通所の事業所は感染拡大防止と利用者の生活リズムの維持、そして職員の雇用を守ることの狭間で揺れる。

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