福島・大熊町に福祉の拠点 認知症GH、社協本部が事業開始

2020年0424 福祉新聞編集部
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おおくまもみの木苑の食堂兼居間

 東京電力福島第1原発事故で全町避難となり、昨年4月に一部地区で避難指示が解除された福島県大熊町で、認知症グループホーム「おおくまもみの木苑」が13日、開設した。同じ敷地内に町社会福祉協議会の本部が入る「住民福祉センター」と「福祉事業者事務所」も同日開所し、町の復興に向けた福祉・介護の拠点となる。

 

 大熊町は2018年12月に「福祉の里構想」を策定した。元の町民も、新しく町民になった人も、町内で働く人も、すべての人が連携し、ゼロから大熊町独自の地域包括ケアシステムを作り上げていく。福祉・介護の拠点はその第一歩となるもので総事業費約10億円。

 

 もみの木苑は東日本大震災後、町内初の介護事業所で、社会福祉法人おおくま福寿会(石田仁理事長)が町から指定管理を受けて運営する。同法人は震災前、町内で特別養護老人ホームなどを運営しており、震災後は、会津若松市の応急仮設住宅内でデイサービスなどを行っていた。

 

 もみの木苑の定員は18人だが、職員を確保できなかったこともあり、今年度は9人を受け入れる。青木美紀・管理者は「4月末から順次入居する。町に戻ってくる人を温かく迎え入れたい」と話す。

 

 一方、住民福祉センターには、9年ぶりに町内に戻った町社協の本部のほか、機能訓練室や会議室がある。また、福祉事業者事務所は、おおくま福寿会の事務所や託児室が設置されている。

 

8人体制でスタートした大熊町社協の本部

基盤整備の課題とは

 大熊町に住民登録のある居住者は4月1日現在で196人。高齢者が多い。ただ、住民登録はないが、原発関連で働く人も含めた推計人口は800人を超える。そのため、町社協の半杭裕明・事務局長は「高齢者だけではなく、原発関連の仕事をしている人も含めて地域づくりをする必要がある」と言う。

 

 町では今後、診療所や交流施設、学校などの基盤整備も進めていく。こうした生活基盤は住民が町に戻るために欠かせないが、一方で、生活基盤の整備は町民がいなければ進められない、というジレンマがある。大熊町役場保健福祉課福祉係の愛場学・係長は「両方のバランスをよく考えながら進めることが大事になる。ハード面の整備を進めつつ、人と人とのつながりを広げていけるよう取り組んでいきたい」としている。

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