職員が暴行後、障害者死亡 千葉県警が因果関係を調査

2013年1223 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加
現在は立入禁止の門から見た養育園。 右端が亡くなった少年のいた第2寮

 千葉県立の知的障害児入所施設、袖ヶ浦福祉センター「養育園」=千葉県社会福祉事業団運営=(袖ヶ浦市)で、19歳の少年が職員に暴行された後に死亡していたことが12日、県の発表で分かった。県警は暴行と死亡の関係などを調べている。暴行には男性職員5人がかかわり、この少年とは別に9人の入所者にも暴行があった。2011年5月ごろから虐待が日常的にあったと見られる。県は事業団が運営する他の施設も検査する。

 

 養育園は1967年に開設。現在は社会福祉法人千葉県社会福祉事業団(近藤敏旦理事長)が指定管理者として運営している。

 

 定員は80人で五つの寮に分かれ、亡くなった少年は、男子棟の中でも強い行動障害がある人や自傷他害のある人を対象にした第2寮(14人)に入所していた。

 

 11日に障害者総合支援法に基づく立ち入り検査をした県などによると、少年は11月24日、ソファで横になっていたところ職員の1人に腹を蹴られた。翌25日、夕食後に倒れ救急搬送されたが26日未明に死亡。29日、検視と解剖をしたとの連絡が警察から養育園に入った。死因は腸に穴が開いたことによる腹膜炎だった。

 

 検査では、職員5人が暴行にかかわり、亡くなった少年とは別の9人にも暴行があったことが判明。しかし事業団は、今回の事件が起きるまで「全く職員らから報告を受けておらず把握していなかった」とし、管理体制の問題を露呈した。

 

 県は事業団が運営する他の施設についても立ち入り検査。また職員5人は自宅待機しており、県警が傷害致死の容疑も視野に、暴行との因果関係などを慎重に調べている。

 

「支援うまくいかず」

 

 事業団の田村邦夫常務理事によると、養育園の職員の平均年齢は33歳ほど。暴行を認めた5人の勤続年数は最長で8年8カ月(50代の契約職員)。4人は20代で、正規職員になって8カ月の人もいた。調査に対し「支援がうまくいかず手を出してしまった」などと話しているという。

 

 事業団は行動障害への対応について職員を研修に参加させるなどしていたが、教育が至らなかったという。

 

 また調査では、実は暴行を目撃したという職員が3人出てきたことも分かった。入職1年未満の人を含む若い職員だという。障害者虐待防止法は施設内虐待を禁止し、従事者の虐待を発見した人に通報義務を課すが、上司に報告はなかった。

 

 事業団は虐待防止の教育も不十分だったとしている。12月13日には研修会が予定されていたが中止。同日は保護者への説明会を開き、近藤理事長、田村常務理事、武田逸朗施設長が謝罪した。

 

 説明会には23家族が参加。保護者からは「原因が分からず説明になっていない」「職員個人の資質のせいにしないでほしい」との批判や、「最近は寮に行っても職員が『利用者たちが不安定になるから』と中まで入れてくれなかったり、事務的な対応だけで話す機会が減ったりしていた。おかしいと感じていたことを施設に言えば良かった」と悔やむ声などが上がったという。

 

◆当事者ら「解明を」

 

 知的障害がある人の親たちで作る全日本手をつなぐ育成会(久保厚子理事長)は13日、「事実なら許すことのできない犯罪だ」と真相の解明と原因の究明を求め声明を発表。

 

 また知的障害のある当事者組織ピープルファーストジャパン(佐々木信行会長)は14日、「虐待事件の中でも最も悪質」と解明のため交渉に応じるよう求める要求書を近藤理事長に手渡した。 

    • このエントリーをはてなブックマークに追加