コロナ禍の児童養護施設 感染出た時ケアできるか志願者募る

2020年0521 福祉新聞編集部
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卒園生からマスクの寄贈を受ける石田本部長(中央)

 東京都立川市の社会福祉法人至誠学舎立川が運営する児童養護施設「至誠学園」では4月上旬、職員を対象に意向確認をした。仮に施設で新型コロナウイルスが発生した場合、子どもをケアする「特別チーム」に参加できるかを問う内容だった。結果的に18人の職員が手を上げたという。

 

 ちょうど政府が緊急事態宣言を出す直前のタイミングだった。石田芳朗・児童事業本部長は「コロナへの対応は命がけであり、無理やり職員にケアを命じることはできない。法人の管理者として、職員の意識と意欲に甘えるしかないという自覚はある」と胸の内を明かす。

 

 そもそも児童養護施設は未知のウイルスに感染した子どものケアを想定した施設ではない。「病院でも院内感染が出ているのに、福祉施設で本当にケアできるのか。感染を防ぐための立ち居振る舞いは十分にできない」(石田本部長)。

 

 マスクや防護服、消毒液などの衛生用品もギリギリだ。これまで、付き合いのあった病院や企業、卒園生などから多くの寄付の申し出があり、何とか数百枚分はそろえたが、この状態がいつまで続くのか。不安は尽きない。

 

 一方、職員の労働環境も大きな課題となっている。

 

 同法人は3カ所の児童養護施設と10カ所のグループホームを運営しており、140人の子どもが暮らす。「ユニットごとに午前中は勉強、午後は施設の庭での遊びなど職員が工夫しながら見ている。とはいえ、ずっと園外に出ていないので、子どもたちも少し飽きつつある状況」と石田本部長は語る。

 

 通常は朝、子どもたちが学校に出かけると、日中は間接的な業務や少し長めの休憩の時間となる。しかし、現在は学校も休みであるため、常にユニットごとに職員1人を配置。オーバーワークがかさんでおり職員にも疲れが見え始めているという。

 

 石田本部長は「どんな社会情勢でも撤退や休止ができないのが社会的養育を担う事業であり、誰かがやらないといけない仕事であるということを痛感している。何とか無事にこの状況を乗り越えたい」と話している。

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