婚活支援や手当アップが柱 新少子化大綱決定で衛藤大臣インタビュー

2020年0529 福祉新聞編集部
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インタビューに答える衛藤大臣

 政府は5月29日、2025年までの少子化対策の指針となる「第4次少子化社会対策大綱」を閣議決定した。大綱は希望出生率1・8の実現に向け、必要な財源を確保しながら総合的な対策を大胆に進める方針を示す。19年の出生数は86万人と統計開始以降、初めて90万人を下回っており、少子化という国難に真正面から立ち向かう時期にきている。そこで衛藤晟一・内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)に新大綱への思いを聞いた。

 

 

――「86万ショック」は文字通り衝撃です。

 

 19年9月の就任直後に事務方に指示したのは、少子化の要因分析です。従来の少子化対策に足りないものは何なのか、各分野の方を招いて非公式の勉強会を開催しました。その知見も含め、19年12月に有識者会議から提言をいただきました。

 

 同時期に明らかになった「86万ショック」とともに総理に報告したところ、改めて希望出生率1・8への道筋を示すよう指示があり、年明け以降、議論が一気に加速しました。

 

――大綱は、出産に向けた個人の希望を阻む要因を取り除くことが大切としています。

 

 大臣として力を入れたのは4本の柱です。

 

 まずは結婚支援。結婚に至らない1番の要因は出会いがないからです。自治体や民間による婚活イベントやマッチング支援などを国が後押しすることが必要だと思います。

 

 二つ目は子育てと仕事の両立です。

 

 大綱では育児休業給付金の検討を盛り込みました。現在、育児休業中は最大でも休業前収入の67%です。つまり、出産したら働いていたころより家計が苦しくなる。これを出産前後で家計の状況が変わらないようにしたい。

 

 もちろん育児休業を取得しやすくすることも大事。特に現在6%である男性の育児休業取得率を30%まで上げたい。併せて子育てを担えるよう「パパ教室」も必要です。

 

――今は家族の在り方も変わってきました。

 

 三つ目の柱は新たな子育てシステムです。

 

 かつては大家族や地域の皆で育てる「共同養育社会」がありましたが、今は違います。

 

 子育てのお手伝いをしたい人をマッチングするファミリーサポート事業もありますが、現状はまだまだ。駅近のビルに子育て支援施設を集約した千葉県流山市のように、地域にあった子育てシステムを広げていきたい。

 

――最近は一人っ子も増えています。

 

 子育てはお金がかかりますからね。都市部では教育費が負担だし、住宅の制約もある。地方では大学進学に伴う下宿代も大きい。

 

 だからこそ四つ目の柱は多子世帯支援です。子どもの数に応じて児童手当を充実できるよう今後検討することを明記しています。

 

 さらに、なかなか子どもを授かれない方もいますので、不妊治療の医療保険の適用拡大なども検討します。

 

 また、新型コロナウイルスは子育てに大きな影響が出ており、安心できる環境が急務です。非常時でもテレワークなどを活用した柔軟な働き方ができる体制も推進します。

 

 いずれも子どもやその家族が、社会から皆から祝福される社会への転換が大事です。

 

 

 

 

――小紙の新春号では「少子化の解決には介護保険を作るくらいのエネルギーが必要」と話されていました。やはり経済支援策こそが必要ではないですか。

 

 思いは全く変わりません。財源確保を含めた国民各層のご理解が必要ですが、少子化の解決には経済支援が欠かせません。

 

 特に育児休業給付金の実質100%は大臣就任前からの持論で、大綱でも「充実を含め総合的に検討」と盛り込んだ。雇用保険財政の問題もありますが、ぜひ今後前向きな検討をお願いしたい。

 

 また、多子世帯支援も同様です。例えば、第2子に月3万円、第3子に月6万円など大胆に取り組んでもいい。

 

 いずれも当初は「そこまで必要か」という声があったのも事実です。しかし最後まで粘り強い説得を続けた結果、財務省にもご理解いただきました。

 

 また、大綱には70項目について数値目標を設定しています。こうした施策は、進捗状況等を検証しながらPDCAサイクルを適切に回していきます。

 

――社会福祉法人への期待はありますか。

 

 今後はかつて大家族や地域社会が担ってきた子育て機能の再構築が必要です。

 

 すでに社会福祉法人は、保育園や児童養護施設はもちろんですが、地域子育て支援拠点事業や一時預かり事業などさまざまな形でご活躍いただいています。こうした中には、育児休業中の方や専業主婦が十分使えないサービスもある。これらの対象を広げ、誰でも気軽に使えるサービスがあってもいいですよね。

 

 今こそ少子化解決への道筋を付けるべきときに来ています。その中で地域の最前線で福祉を担う社会福祉法人や社会福祉協議会の役割は極めて大きい。ぜひ、一緒に手を携えて、この国難に立ち向かっていただくよう、改めてお願いしたいと思います。

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