子ども分野にもコロナ慰労金を 全社協が緊急要望「強い憤り」

2020年0608 福祉新聞編集部
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 全国社会福祉協議会は6月1日、政府に対して、新型コロナウイルス感染症に対応する児童分野で働く職員にも慰労金の支給を求める緊急要望書を提出した。高齢や障害、救護分野で働く職員には感染者が出ていなくても支払われる予定だが、保育所や児童養護施設は対象外となっており、要望書は「強い憤りを感じる」と訴えている。

 

 政府は第2次補正予算案で、新型コロナに関する「緊急包括支援交付金」を拡充し、2兆2370億円を計上した。医療分野だけでなく福祉分野も対象を広げたのが特徴で、新型コロナの感染者が出ていなくても、高齢や障害分野で働く職員には5万円を支給する。いずれも利用者と接すれば職種も問わない。報酬の加算ではないため、都道府県から施設を通じて満額の5万円が職員に非課税で支給される予定だ。

 

 ところが、同交付金は児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、保育所などの職員は対象外となっている。理由は「子ども分野は重症化リスクが低く、クラスターの発生も少ないから」(厚労省子ども家庭局)という。

 

 これを受け、要望書は児童福祉施設が慰労金の対象外となったことについて「強い憤りを感じる」と強調。特に保育所については、緊急事態宣言以降も看護師や医師の子どもを受け入れるなど保育を継続してきたことや、実際に全国で50カ所以上の保育所で感染者が出ている現状を訴えた。

 

 児童養護施設も、3月に学校が休校になったことから、職員は勤務シフトを組み直して24時間体制で子どものケアをしていると説明。同様に乳児院も感染リスクがある中で、児童相談所からの一時保護の受け入れや里親支援をしていると強調した。このほか、母子生活支援施設も限られた職員体制で支援を続ける現状を訴えている。

■現場の士気、保てぬ

 慰労金から児童福祉分野が対象外となったことに、現場からは驚愕の声があがる。

 

 平田ルリ子・全国乳児福祉協議会長は「コロナ禍においても乳児院では児相からの一時保護や、里親への相談支援を続けてきた。線引きされたことが信じられない」と話す。

 

 平田会長が施設長を務める清心乳児園(福岡県)では3月以降、職員に対して1日4回の検温と毎日の行動記録を義務付けた。また、里親の相談支援を行った職員は2日間在宅ワークとし、一時保護の子どもは別棟で2週間隔離するなど「子どもの命を守るため、徹底した感染防止管理を行った」(平田会長)。

 

 また3月には全国の乳児院に状況確認を行い、ほかの種別協に先駆けて職員へのリスク手当などを要望してきた経緯もある。平田会長は「乳児院は児相の依頼を断れない仕事であり、ずっと張り詰めた緊張感の中で養育してきた。もはや職員のモチベーションは保てない」と語った。

 

 桑原教修・全国児童養護施設協議会長も「最初耳を疑った。24時間子どもを守る児童養護施設が軽んじられているとしか思えない」と話す。

 

 非常事態宣言で学校が休校になり、日中も子どもをケアする必要があるため、職員の労働時間は確実に増えた。また、児童養護施設の中には、保護者がコロナに感染した場合に受け入れる施設として、県から指定されている地域もある。

 

 桑原会長は「児童養護施設も社会の維持には必要不可欠。お金の問題ではなく、職員の努力を誰も評価してくれないということが残念だ」と語った。

 

 一方、菅田賢治・全国母子生活支援施設協議会長も「福祉従事者に格差をつけるものであり、容認しがたい」と憤る。全国には高齢や障害、子ども分野の福祉施設を総合的に運営する社会福祉法人も少なくなく、分野で職員に格差が出ることを懸念する。

 

 長い自粛生活による児童虐待やDVの増加を懸念して全母協は4月、厚労省に対し積極的な母子施設の活用を求める要望書を提出していた。菅田会長は「1日たりとも休むことができないのが福祉施設。この間もずっと社会を支える役割を担ってきた」と訴えた。

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