すべての駅に保育施設 子育てしやすい町ナンバーワンの松戸市

2020年0618 福祉新聞編集部
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市内23駅全部に設置された小規模保育施設(八柱ステーションルーム)

 千葉県松戸市(本郷谷健次市長)は、市内23駅全てに駅前・駅ナカ小規模保育施設を設置し、働く親も幼稚園を選べる“松戸方式”と呼ばれる子育て支援策を進めている。その取り組みは、日本経済新聞社と子育て家庭向け情報サイト「日経DUAL」が行った「共働き子育てしやすい街ランキング2019・全国編(東京除く)」で、17年に続き1位になるなど評価されている。5年連続で待機児童ゼロを達成した本郷谷市長に松戸送式への想いを伺った。

 

 松戸市は、15年の子ども・子育て支援新制度の開始を受け、「子ども総合計画」を策定。この5年間、従来に増して子育て支援策に力を入れてきた。

 

 乳幼児と保護者が集い、専門知識をもつ子育て支援コーディネーターに気軽に相談できる「親子DE広場・子育て支援センター」(26カ所)や、夜11時まで受診できる「夜間小児急病センター」、病児・病後児保育室(4カ所)の設置、スマホアプリによる子育て支援情報の提供など支援策は多岐に渡る。

 

 特に全国から視察が絶えないのが、保育所・認定こども園(76カ所、定員7223人)を増やすのではなく、0~2歳児は小規模保育施設を増やし、3~5歳児は幼稚園での長時間預かり保育を充実することで保育需要に対応する「松戸方式」だ。開設までに最低1年要し、コストもかかる保育所を増やさず、整備期間が約3カ月と短く、コストも低い小規保育施設と、幼稚園の利用を促すことで待機児童を解消している。

 

 小規模保育施設は、JR・私鉄を含め市内23駅の駅前・駅ナカを中心に整備。都内への通勤者の多さを踏まえ、通勤途中に送迎できる利便さを考えた。4月1日現在78カ所(約1300人)あるが、全施設がほぼ定員を満たしており、今年度さらに25カ所増やす。

 

 整備は市が積極的に関与する。職員が空き物件を探し、オーナーと調整した上で、その近くで保育所を運営する社会福祉法人中心に初期費用や返済計画などを示したシミュレーションを持参して打診する。市の手厚い支援もあり、小規模保育施設の半数以上は社福法人が運営している。

 

 幼稚園の預かり保育は、教育時間前後の早朝と夕方などに実施。幼稚園が自ら行う方法に加え、幼稚園が県・市の補助金と利用料から保育所に委託料を支払う「社福法人委託型預かり保育」がある。委託された保育園は、保育士が幼稚園に出向き預かり保育をする。

 

 預かり保育を利用する保護者には、保育園の保育料とほぼ同額となるように費用が助成される。これにより、保護者は働いていても幼稚園を選択できるようになった。幼稚園の平均入園率も55%となり、全国平均(48%)を上回る。

 

 松戸方式で忘れてならないのは、複数駅がある主要4駅に設置され、3~5歳児を幼稚園にバスで送迎する保育ステーションだ。小規模保育施設終了後に保護者が生活パターンを変えずに幼稚園を選択することができ、“3歳の壁”の解消にも役立っている。

 

送迎保育ステーションで幼稚園のバスが送迎する

 

 松戸方式実現に向け市が力を入れているのが、市独自の賃金加算制度と家賃補助制度よる保育士確保対策だ。

 

 賃金加算制度は、新卒から11年までの保育士に月額4万5000円~7万8000円を経験年数により上乗せ支給するもの。給料明細に「松戸手当」と明記するよう市が求めたことで、保育士に確実に届いている。

 

 また、家賃補助は新人から5年間、上限額8万2000円の4分の3を補助している。

 

 こうした保育士確保対策により、一時は東京に流れていった保育士も留まるようになった。子育てしやすい街は、保育士が働きやすい街にもなっている。

 

➡次ページ 本郷谷市長に聞く

 

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