障害者差別解消法 改正法案提出を検討
2020年12月21日 福祉新聞編集部
内閣府は12月14日、障害者差別解消法の改正案を2021年の通常国会に提出することを検討中であることを同日の障害者政策委員会(委員長=石川准・静岡県立大教授)で明らかにした。現在、民間事業者は障害者への合理的配慮の提供が努力義務になっているが、これを義務化する。
内閣府は「提出すると決まっているわけではない」と断りつつ、改正事項を五つ挙げた。
障害者、事業者から個別の相談に応じる自治体の窓口体制を拡充するほか、国と地方の連携についても定める。
改正法案が21年度中に成立した場合でも「施行までに相応の準備期間を設ける」としたが、障害者団体からは早期施行を求める声が相次いだ。
合理的配慮とは障害者が具体的な生活場面で直面する障壁について、行政機関や事業者が対話を通じて取り除くこと。これを怠ると同法の差別にあたる。
行政機関はすでに合理的配慮が義務となっている。民間事業者の間には「義務化するとトラブルが増えるのではないか」「中小事業者は人的資源が乏しく、対応が難しい」といった慎重意見がある。
内閣府のホームページには、合理的配慮の事例集があり、障害の種類別や生活場面(公共交通、買い物、飲食店など)ごとに事例を調べることができる。
差別解消法は16年4月に施行され、施行3年後の見直し規定がある。同委員会は19年2月から検討を重ね、今年6月に意見書をまとめていた。