B型肝炎――ワクチンの積極的な接種を

2022年0204 福祉新聞編集部
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 「ユニバーサルワクチネーション」って聞いたことありますか? 国民全員がワクチンを受ける方法をユニバーサルワクチネーションと呼びます。世界保健機構(WHO)では以前から「すべての子に生まれてから24時間以内のHBワクチン接種を」とユニバーサルワクチネーションを推奨していましたが、日本では2016年にやっと0歳児を対象とした接種が始まりました。

 

 B型肝炎ウイルス(HBウイルス)は、全世界で、約3億5000万人が感染していると言われています。ちなみに世界の新型コロナウイルス感染者数は22年1月現在で約3億3000万人です。HBウイルスは乳幼児期に感染すると高率に持続感染し、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝がんへと進展します。以前は輸血から感染しましたが、現在では献血された血液のスクリーニングによりほぼゼロです。HBウイルスに感染したお母さんから子供に感染する母子感染が主要な感染ルートであったため、日本ではHBウイルスに感染したお母さんから生まれた赤ちゃんのみ、公費でHBワクチン接種が行われてきました。

 

 しかし、母親以外の家族などからの感染は防ぐことができませんでした。祖父から孫へ、孫から父へと感染が広がった症例を私たちも経験しております。また、祖母から孫へ感染し、孫が劇症肝炎(昏睡を伴う重症急性肝炎)を発症した症例も経験しました。また、保育所における園児、先生の集団感染事例もあります。もしも、日本でもユニバーサルワクチネーションが行われていれば、これら事例は防げました。HBウイルスは感染してキャリア化(持続感染)してしまうと、子供たちは生涯にわたりウイルスと共に生きていくことになり、発がんの不安を抱えたまま生きていくことになります。

 

 一方で、大人へのHBウイルス感染は、HBウイルスに感染したパートナーとの性交渉の際に起きることが一般的です。以前は大人が感染しても、キャリア化はまれで、急性肝炎が治れば体からウイルスは排除されると考えられていました。しかし、肝細胞の核内にウイルス遺伝子が組み込まれて残っており、抗がん剤や免疫抑制剤などの治療をするとウイルスが再び体内で増殖し、急性肝炎を発症し、適切な治療が行われないと死亡することが分かりました。

 

 したがって、大人になっても感染しないことが大切なのです。また、HBウイルスの遺伝子型Aというタイプは大人に感染しても高率にキャリア化します。そして、現在、日本でも遺伝子型AのHBウイルス感染事例が増加しています。

 

 日本では、0歳児のみがHBワクチンの公費接種対象ですが、子供がHBワクチンを受けていない場合には積極的に接種をしましょう。

 

(そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科副部長)

 

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