台風で浸水被害の特養、新施設で事業開始

2022年0208 福祉新聞編集部
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新施設の外観

 2019年10月の台風19号災害で被災し、福祉仮設住宅として事業継続していた埼玉県川越市の特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」(定員80人)の新施設が完成。1日から事業を開始した。

 

 社会福祉法人キングス・ガーデン埼玉(片岡正雄理事長)が経営する同施設は、河川の氾濫で床上浸水150センチの被害を受けた。過去にも浸水被害のあった現地での再開を諦め移転先を探すとともに、20年4月から市が用意した小学校跡地に県と国が建築費を折半した福祉仮設住宅で事業を継続してきた。

 

 同施設には被災前79人が入所していたが、福祉仮設住宅に戻ってきたのは63人。避難後に亡くなった人、避難先施設での生活を選んだ人が16人。そして、新施設に戻ってきたのは48人だった。

 

 入所者が31人減ったことや新規入所、通所介護などができなくなったことで、年間収入は約5億円から3億5000万円に。訪問介護と居宅介護支援は継続したが、施設は経営危機に直面した。

 

 それでも法人は、全職員の雇用を継続する方針を掲げ、17人を法人職員のまま他法人の施設で就労させる出向という方式を考えた。同法人が他に4カ所の入所施設を経営していることやキングス・ガーデングループの支援、他法人の協力があってのことだが、この取り組みは奏功。出向先から請われて移籍した1人を除き、16人が新施設に戻ってきた。

 

 新施設は、元の場所から約2キロ離れた高台に開設された。延床面積4780平方メートル、鉄骨造地上2階建て。災害時には地域の福祉避難所となることを想定して設計された。

 

 新施設では、2月第3週から新規入所者の受け入れを始める。短期入所、通所介護は特養ホームが落ち着いた4月からの再開を目指す。

 

 1月29日に行われた新施設竣工祝福式で片岡理事長は「市県国などの協力で高台移転ができて本当に良かった。被災後に多くの方から恵みを受けたが、これからは与えられるように励みたい」とあいさつ。高齢者福祉と地域のために力を尽くす考えを示した。

 

 災害救助法に基づく福祉仮設住宅=2018年9月の北海道胆振沖地震で被災した特養ホームや障害者施設の入所者の緊急避難場所として初めて建設され、同施設が2例目になる。期限が2年間で、入所者の新規受け入れや短期入所、通所介護を行えないなどの制限がある。

 

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