新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」 民間資格で決着

2022年0215 福祉新聞編集部

 厚生労働省は2月3日、社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会(委員長=山縣文治・関西大教授)を開き、子ども分野の新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」(仮称)の創設などを盛り込んだ報告書をまとめた。実務経験のある社会福祉士などが研修を受けて試験に合格すると取得できる民間資格で、早ければ2024年度に誕生する。これまで一部の委員からは国家資格化を望む声もあったが、見送った。

 

 新資格は、2年以上の実務経験がある社会福祉士や精神保健福祉士が、100時間程度の指定研修を受講後、試験に合格すれば取得できる。指定研修はオンライン授業なども取り入れるという。

 

 導入にあたり、既存の両資格がない人でも取得できるよう経過措置を設ける。

 

 子ども家庭福祉分野や保育分野で4年以上の実務経験があれば、指定研修とは別のソーシャルワークに関する研修も受講することで、受験資格を得られるようにする。ただ、実務経験の範囲や、経過措置の期間など詳細は今後詰める。

 

 試験は新たにつくる民間の認定機構が実施し、養成校団体や職能団体からは独立した団体とする。試験は指定研修の効果も測定する実践的な試験内容になるという。

 

 新資格は、早急に現場での任用が進むようインセンティブも設ける。

 

 児童相談所については、新資格保持者はスーパーバイザー(SV)の要件を実務経験5年から3年に短縮することで調整することにしている。全国の児相が児童福祉司を増やす中、SVは児童福祉司5人につき1人以上配置するものとして政令に規定されている。

 

 一方、児童養護施設や乳児院など民間の現場への配置促進に向けては今後検討する。新資格取得者がいれば措置費を上乗せすることなどが考えられる。

 

 会合では、福祉系大学などで学ぶ学生が新資格を取得できるルートも示された。しかし委員から、まずは社会人ルートだけの養成を求める声が相次いだことから、養成校ルートは外すことを決めた。

国家資格は再検討

 新資格の国家資格化をめぐってはこれまで、委員の意見が分かれており、平行線をたどっていた。しかし、自民党の厚労部会が1月28日、新資格は民間資格とし、施行後2年をめどに国家資格化を再度検討する方針を決定。こうした背景もあり、会合で国家資格化を強く求める声は上がらなかった。

 

 厚労省は今国会に提出する児童福祉法改正案に、新資格を盛り込む方針だ。

 

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