児童養護施設にキャリア教育を 協力企業紹介するフェアスタートパートナー

2022年0324 福祉新聞編集部
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あいさつする永岡代表理事

 NPO法人フェアスタートサポート(永岡鉄平代表理事)は、児童養護施設で暮らす子どものキャリア教育を進めるため、協力的な民間企業を紹介するウェブサイト「フェアスタートパートナー」を開設した。現在、会社見学や仕事体験などができる90社を掲載している。永岡代表は各地の企業経営者らが集まる会合に顔を出して協力を呼び掛けており、5年で1000社の掲載を目指しているという。

 

「児童養護施設などを退所して就職した半数が1年で仕事を辞めるのが現状です」――。3月上旬、東京町田ロータリークラブの会合で永岡代表理事はこう訴えた。

 

 その上で、施設にいる時から地域の企業と連携したキャリア教育を行うことで、就職のミスマッチをなくしたいと強調。ウェブサイトへの掲載への協力を求めた。

 

 永岡代表理事は、定期的にこうした奉仕団体や経済団体などの会合を回り、児童養護施設などで暮らす子どもへの理解を広める活動をしている。会合後、同クラブの岡資治会長も「地域のために活動したいと考える地元老舗経営者も多いので、共感する会員も多かったのでは」と話した。

現在90社を掲載

 現在ウェブサイトに掲載しているのは、IT企業や居酒屋、内装業、病院など90社。それぞれ、住所や企業のURLなどのほか、見学や体験など提供する内容が載っている。

 

 例えば、ウェブアプリ開発のウイングシステム(横浜市)は、データ処理の体験ができる。「適正重視で人を採用している」と紹介する。

 

 また電気設備業の電建(兵庫県)では、簡単な設備施工体験を提供。「電気工事は生活に欠かせない最高の仕事」とアピールする。

 

 さらに生花店を2店舗経営するシオン(京都府)では、花の水上げ作業やポップ作りな地元客が多く、スタッフは穏やかな人が多いという。

ミスマッチの理由

 フェアスタートがこの事業を始めたのは、児童養護施設の子どもにキャリア教育が必要だと感じたためだ。

 

 児童養護施設などで暮らす子どもで高校卒業と同時に就職するのは6割。しかし東京都の調査では、約半数が1年以内に仕事を辞めているのが現状だ。

 

 理由について永岡代表理事は「現制度では、高校でも施設でも手厚いキャリア教育を十分に提供できず、ミスマッチが起こりやすいため」と話す。

 

 フェアスタートは2010年から、施設と企業を結び、就職後も施設出身者を支える活動を開始。こうした支援により就職の定着率を上げてきた実績がある。ウェブサイトは在学中から長い時間をかけて子どもにキャリア教育を提供する文化をつくる狙いもある。

目標1000社

 児童養護施設の子どもや職員がウェブサイトを活用するのは無料。企業の掲載料も無料だが、寄付や会費を呼び掛けることで、運営費に充てたい考えだ。

 

 また企業の質を担保するため、ロータリークラブや中小企業家同友会、商工会議所、青年会議所、倫理法人会といった団体の会員などの条件もある。

 

 永岡代表理事は「キャリア教育の文化が根付けば、見学した会社に就職するという事例も増えるはず。地域の企業と児童養護施設が協力するモデルを作ることで、安心して進路を選択できるようになれば」と話す。

 

 フェアスタートは5年以内に1000社の掲載を目標にしている。

 

 

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