島根の高校生×東京の大学生 協働で福祉学ぶ

2022年0401 福祉新聞編集部
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買い物をする高校生(今年2月)=吉賀高ホームページより

 「買い物代行サービスは地方と都会で違いますか?」「高齢者との関わり方は?」――。島根県立吉賀高(小林三高校長、普通科101人)の生徒と東京の青山学院、法政の両大学生が協働で福祉の学びを展開している。文部科学省の提起する高大連携の一環だ。

 

 同高は県南西端の中山間地、吉賀町(人口5926人、高齢化率44・5%)にある。町の支援で2012年度、アントレプレナーシップ教育を導入。2年後から樋田大二郎・青山学院大教授(教育社会学)や寺崎里水・法政大教授(同)のゼミ生らと交流(相互訪問研修)を始めた。高校生が考えるテーマに沿い、取材訪問先のアポを学生がとり、協働で課題探究型学習を続けている。

 

 コロナ禍の今年度は東京、神奈川、宮城、福島、広島、島根などの計15カ所を選定。「福祉・医療」班の高校生は福岡市と群馬県高崎市の社会福祉協議会、東京都多摩市で高齢者の居場所を運営するNPO法人「福祉亭」を〝オンライン訪問〟した。

 

 吉賀町内の介護施設などへ出向き、ボランティアのサロン活動をしているメンバーは、「手芸の指導をしたけど、うまくいかない。良い方法は?」とパソコン画面を通して質問。福祉亭の寺田美恵子理事長は「高齢者は既にいろいろ経験し、面倒だったり新しいことは苦手だったりする。作品作りに主眼を置かず、交流の手立てくらいに考えては」と、触れ合いそのものの大切さを強調した。

 

 また、福岡市社協の担当者も「若者との交流でお年寄りは本当に元気になります。ぜひ継続を」と激励。学生は進行係に徹したが、「高校生は熱心に質問していた」(青学大4年、福田紘太郎さん)。

 

 一方、買い物代行ボランティアを企画中の高校生3人は高崎市社協を訪問。長野県に接する山間部と新幹線駅のある人口密集地区でのニーズの違いを聞いた。山間に住む人は車でまとめ買いするため意外に少なく、むしろ階段の上り下りに苦労する住宅街の住人や、誰かとおしゃべりしたいお年寄りからのニーズが多いと聞き、「高校生は驚いていた」(法政大3年、辛島彩夏さん)という。

 

 認知症の人との対応、金銭授受、商品配達は玄関までで冷蔵庫へは入れない、といったノウハウを教えられた3人は今年2月、実際に注文を受け、携帯電話で連絡を取りながら吉賀町内のスーパーで品物を購入、無事届けた。「お年寄りと楽しく話をしながら無事終え、楽しかった」(2年、井上愛梨さん)と学校のホームページで報告している。

 

 アントレプレナーシップ教育=アントレプレナーシップとは「起業家精神」の意。企業や地域で新たな価値を創造する人づくりを目的に、小学校から大学院まで国や自治体などの支援でプログラムを実践。吉賀高では高校の魅力アップや地域人材の育成などを目指し、全生徒が環境、産業、医療・福祉など地域の課題ごとにチームをつくって「聞き書き」(1年生)、「町で自分たちは何ができるか」(2年生)と学びを重ね、校内外で発表会も行っている。

 

 

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