亀梨和也さん主演ドラマ「正体」 舞台の介護現場を特養施設長が監修

2022年0405 福祉新聞編集部
ドラマに使われた創作品と作った利用者

 WOWOWで放送中のサスペンスドラマ「正体」(原作・染井為人、主演・亀梨和也、計4話)は、介護施設がメインの舞台となり、介護現場がリアルに再現されている。介護の監修を担当した特別養護老人ホーム潤生園(社会福祉法人小田原福祉会)の井口健一郎施設長は「介護の『あるある』がたくさん出ている。職員が見て元気になってほしい」と話す。

 

 ドラマでは入所者の動き、職員の介護技術、施設に関して細部までこだわった。例えば、服の着脱シーンでは上着を裏返して袖に腕を通し、入所者と手をつないで引いて着せる。入所者への声掛けは目線が上にならないよう腰を下げ、膝は床につけないで行う。つえがないと声を荒らげる認知症の入所者に寄り添い、気持ちを落ち着かせるシーンも丁寧に再現されている。

 

 施設についても入り口や廊下の掲示物、事務室の資料にまでこだわり、その完成度は出演者が本物の介護施設と勘違いするほど。また、法人のデイサービス利用者らが創作した作品も使われ、ドラマを見た利用者は「ありがたいね」と喜び合い、次の創作への意欲が増している。

 

 井口施設長はドラマの撮影期間中は随時相談に応じ、約1週間、撮影現場にも入った。入所者のリアルさを出すため、すり足で歩き、姿勢は少し曲げることなども助言した。「制作スタッフが一緒になって介護のリアルを描写してくれた。介護の美談だけでなく、リアルを伝えていくことが大事」と話す。

 

 ドラマには黒木瞳さんや濵田崇裕さんも出演しており、WOWOWの連続ドラマ史上驚異的な視聴数を記録しているという。

 

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