漢方治療――赤ちゃんに有効なことも

2022年0408 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 風邪薬は「風邪を治す薬ではない」とお話しすると驚かれる方がおられます。「じゃあ、何のために病院に行くんですか!」と親御さんからお叱りを受けたこともあります。いわゆる〝風邪薬〟は熱が出たら熱を下げる、鼻水が出たら鼻水を止める、せきが出たらせきを止めるなど、あくまでも風邪による症状を抑えて、自分の免疫で風邪を治すまでの期間を楽に過ごすためのものです。

 

 だから、発熱、せき、鼻水などの症状があっても、本人が元気にしていれば、薬を飲む必要はありません。風邪薬を飲んでも治らないだけではなく、薬を飲むことで、副作用が出てしまうこともあります。

 

 子供の風邪で鼻水が出たときにシプロヘプタジンという成分の薬がよく処方されます。第一世代抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬剤ですが、けいれんの副作用がよく知られており、最近は乳幼児に対してはあまり使われなくなっています。

 

 さて、今までお話ししてきたのは、実は西洋医学の考え方に基づいた西洋薬の風邪薬の話です。日本では古来より漢方薬が使われてきました。漢方では風邪は、「寒邪」「風邪」という「病邪」が体に入り込んできている状態と考えます。詳しい説明は省略しますが、病邪を体の外に出したり、気血水の流れを改善したり、不足分を補ったりすることで治療します。ですので、言い方を変えると、風邪を治す治療とも言えます。

 

 私自身は学生時代には漢方について学ぶ機会はなく、「そこら辺に生えている草木や石で病気が治るはずがない」と考えていましたが、インフルエンザに対する麻黄湯の効果を実感してからは漢方薬をよく使用するようになりました。我が家の子供たちは風邪を引くと西洋薬よりも漢方薬を欲しがります。漢方薬は独特の味や匂いのため嫌がる子もいますが、我が家では牛乳と砂糖と漢方薬を混ぜて電子レンジで少し温めてから飲ませていました。

 

 漢方薬は赤ちゃんの発熱や鼻詰まりにも使えます。「鼻が詰まってフガフガと苦しそうです」という子には、第一世代抗ヒスタミン薬の代わりに麻黄湯を処方することがあります。夜泣きのひどい子には、抑肝散や甘麦大棗湯を処方することがあります。

 

 西洋薬では対応しづらい症状に対しても、漢方薬は有効なことがありますので、困ったことがあったら漢方専門医に相談してみても良いかもしれません。

 

(そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科部長)

 

福祉新聞の購読はこちら

    • このエントリーをはてなブックマークに追加