急性肝炎――欧米で多発、対策徹底を

2022年0513 福祉新聞編集部
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 世界保健機関(WHO)が4月21日時点で、少なくとも169例の子供の原因不明の急性肝炎がヨーロッパ地域と米国の12カ国から報告されていると発表しました。年齢は生後1カ月~16歳で、169例中17例で肝移植が必要となり、少なくとも1例の死亡が報告されています。

 

 急性肝炎とは、主にウイルスの感染が原因でおきる急性の肝機能障害を起こす病気です。症状としては、黄疸(眼球や皮膚が黄色くなる)、食欲不振、吐き気嘔吐、全身倦怠感などがあります。

 

 今回、WHOが発表した欧米で多発している子供の急性肝炎では、腹痛、下痢、嘔吐が先行し、黄疸や血液検査での肝機能障害のマーカーであるAST、ALTの上昇がみられるようです。74例でアデノウイルスが検出され、新型コロナウイルスが20例で検出されました。さらに19例ではアデノウイルスと新型コロナウイルスが同時に検出されています。日本でも同様の肝炎が発生しているのかどうかは調査が必要です。

 

 アデノウイルスは、「風邪」の原因となる主なウイルスの一つです。アデノウイルスは、1型から51型まで分類されており、その型により胃腸炎、上気道炎、結膜炎、膀胱炎などを起こすことが知られています。〝プール熱〟の呼び名で知られる咽頭結膜熱もアデノウイルスが原因です。また、〝はやり目〟などとも呼ばれる流行性角結膜炎もアデノウイルスにより引き起こされます。へんとう腺が腫れて膿がつくようなへんとう炎もアデノウイルスが原因のことがあります。

 

 以前より、抗がん剤や免疫抑制薬の投与などで免疫力が落ちている患者では、アデノウイルスに感染すると肝炎や肺炎が起こることが知られていました。

 

 小児では免疫が落ちていなくても肝炎を起こすことを私たちのグループでは以前から学会などで報告をしていました。しかし、今回のように肝移植が必要になったり、死に至ったりする症例はありませんでした。

 

 アデノウイルスは感染力の強いウイルスであり、主に飛沫感染と接触感染により感染が広がります。予防のためには現在の新型コロナウイルスの感染予防対策と同様で、マスク、手洗い、換気が原則です。ハンカチ、タオルの共有も感染拡大の原因になりますので、使い捨てのペーパータオルを使いましょう。

 

 欧米を中心として、今、何が起こっているのか、今後の調査結果が待たれます。今、子供たちを守るために私たちができることは、今まで通りの感染対策を続けることです。

 

(そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科部長)

 

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