腰痛予防の具体策検討 労災防止計画に反映へ〈厚労省〉

2022年0524 福祉新聞編集部

 厚生労働省は5月13日、「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会」(座長=高田礼子・聖マリアンナ医科大主任教授)の初会合を開いた。介護施設などで増えている転倒や腰痛を防ぐための具体策を検討し、2023年度からの第14次労働災害防止計画に反映させ、必要な制度改正やガイドラインの作成なども行う。

 

 労働災害は近年介護施設や小売業など第3次産業で増えており、主な原因である転倒や腰痛などの無理な動作に対する防止策が必要とされている。また、事業者の安全衛生への理解が十分でないといった課題もある。  

 

 そこで厚労省は有識者の意見をもとに3月に提言をまとめた。提言は▽課題や背景要因の的確な把握▽企業、労働者の行動変容を促す情報発信と関係者の連携▽主体的な取り組みの促進、制度の見直しと新たな取り組み――が柱で、検討会でその具体化や制度化について議論することにしている。 

 

 同日は現状や課題、災害防止意識向上や安全衛生教育の具体策、職場の推進体制構築、事業者への支援策などについて意見交換した。

 

 介護関係では信澤真由美委員(全国老人福祉施設協議会)が「施設が急増して人材不足の中で無資格者が増え、介護技術を学ばないうちに現場に入らざるを得なくてこうした状況になった」と述べ、今村文典委員(日本介護福祉士会)は「要介護者の急な行動に対応しないと安全を担保できないことが前提にあり、無理な態勢で対応することで発生している。現場職員のモチベーションも影響している」と話した。

 

 そのほかの委員からは「何から始めていいか分からないのでハードルの低いツールがあるといい」「ヒアリハットの収集、共有や労災情報のフィードバックが必要」などの発言が相次いだ。

 

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