腹部偏頭痛――発作性の強い腹痛

2022年0527 福祉新聞編集部
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 子供は何かあると「おなかが痛い」と言ってきます。子供の腹痛で最も多い原因は便秘です。突然、「おなかが痛い」と言い、痛みで汗をかいている。慌てて医療機関を受診すると「うんちがたまっています」と言われ、かん腸をして排便すると腹痛はよくなる。

 

 ただ、時々発作性に強い腹痛を訴えて、それが1時間以上続く。場合によっては嘔吐することもあり、医療機関を受診してレントゲン撮影をしても便秘と違って、うんちがたくさんたまっていることはない。数週間から数カ月空けて、同じような腹痛を繰り返すけれども、検査をしても原因が分からない。このような症例にときどき出合います。

 

 このような症例の一部に腹部片頭痛の診断がつく子がいます。「腹部……おなかの? 片頭痛? ……頭の痛みじゃなくて?」と混乱される方がおられるかもしれません。片頭痛のような発作性の強い痛みがおなかに起こっていると考えてください。

 

 実際に腹痛と頭痛が一緒に起こる子もいます。ストレス、疲労、旅行などが引き金となって腹痛発作が起こり、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状が同時にみられることがあり、休息や睡眠で改善するというのも片頭痛と同じです。そして、その症状は患者それぞれのパターンがあるというのも片頭痛と同様です。

 

 腹痛発作のときには、日常生活に支障をきたすような強い痛みを訴えるのですが、発作がないときにはまったく腹痛はなく、普通に生活できるので、診断がとても難しいことがあります。

 

 不思議なことに風邪などの際に鼻水止めとして処方されるシプロヘプタジン(商品名・ペリアクチン)という薬が腹部片頭痛に効くのです。調べてみると、シプロヘプタジンは鼻水に有効な抗ヒスタミン作用だけではなく、抗セロトニン作用があるようです。セロトニンは脳と消化管に広く分布しており、痛みに関与しているホルモンです。

 

 シプロヘプタジンはヒスタミンとセロトニンの両方を抑制することで腹部片頭痛に効果を発揮するようです。私が経験した繰り返す腹痛と嘔吐がみられた腹部片頭痛の子もシプロヘプタジンを内服したところ発作的な腹痛と嘔吐の症状はみられなくなりました。

 

 原因が分からない発作性の強い腹痛を繰り返し、食欲不振、吐き気、嘔吐、頭痛、羞明(通常の光をまぶしく感じる)、顔色不良の症状のうち二つ以上が同時にみられるようであれば、腹部片頭痛の可能性があります。まずはかかりつけの小児科医に相談してみてください。

 

(そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科部長)

 

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