運動能力が二極化

2022年0617 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 東京で前回オリンピックが開かれた1964年以降、日本では、内容の見直しや変更はあるものの体力・運動能力調査が行われています。そして、ほとんどのテスト項目で64~85年前後までは向上していますが、85年頃をピークに約10年間急激な低下がみられます。

 

 特に、小学生では「跳ぶ」「投げる」などの全身を全力でタイミングよく操作する能力、中学生以上では持久力において、著しい低下傾向です。ちなみに、家庭用ゲーム機普及のきっかけとなったテレビゲーム機の発売が83年、今の携帯型ゲーム機の原型とも言える任天堂「ゲームボーイ」の発売が89年であり、体力低下の転換点となった時期と見事に一致しています。体力低下の原因はさまざまなものが想定されていますが、家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機、スマートフォンの普及の影響は少なくないと思います。

 

 子供の体力が低下している一方、スポーツクラブ、習い事などで幼少期から積極的に運動やスポーツをしている子供も多くいます。そして、よく運動をする子=体力・運動能力が高い子と、あまり運動をしない子=体力・運動能力が低い子の二極化が進んでおり、体力・運動能力の高い子の成績はほぼ頭打ち状態である一方、体力・運動能力の低い子の成績は低下し、両者の差が開いてきています。

 

 肥満解消の運動指導をする際に、目安として1日の歩数を用いることが小児でもあります。成人では1日に1万歩が推奨されていますが、これは週当たり2000キロカロリー(1日当たり約300キロカロリー)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されていることによります。

 

 つまり、体重60キロの人が、時速4キロ(分速70メートル)、歩幅70センチで10分歩く(700メートル、1000歩)場合の消費カロリーは30キロカロリーであり、300キロカロリーのエネルギーを消費するためには、1万歩歩く必要があるということです。1997年度国民栄養調査では、日本人成人の歩数の現状は、1日平均で男性8202歩、女性7282歩であり、1日1万歩以上歩いているのは男性29・2%、女性21・8%です。

 

 一方、小児においては、2011年度「東京都児童・生徒の日常生活活動に関する調査」によると、小学生男子は約1万2000歩、中学生男子が約1万歩、高校生男子は約8000歩となっています。しかし、1980年代の調査では、小学生男子は2万歩を超える報告が多くみられており、30年間で小学生の歩数が半減していることが分かります。

 

 やはり、野山を走り回ったり、野球やサッカーで放課後を過ごしたりしていた子供たちのライフスタイルが、80年代に家庭用ビデオゲームが普及したことでガラッと変わってしまったことが影響しているように考えてしまいます。昭和の価値観と言われようとも、子供の運動量は昭和に戻した方が良いと思います。

 

(そごう・つよし 済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科部長)

 

福祉新聞の購読はこちら

    • このエントリーをはてなブックマークに追加