「ケアラーの理解促進を」 北海道社協に支援センター開設

2022年0623 福祉新聞編集部
中村センター長(左)と大島康雄・運営委員長

 北海道社会福祉協議会は6月1日、「ケアラー支援推進センター」を開設した。4月施行の「北海道ケアラー支援条例」を踏まえたもの。ケアラーについて広く道民の理解を促し、市町村でケアラー支援の体制整備が進むよう後方支援的役割も担う。

 

 都道府県社協に同センターが設置されるのは初めて。北海道の委託を受け、職員4人体制で運営する。

 

 主な機能は自治体や関係団体への情報提供、調査研究、研修による人材育成など。具体的には、すでに普及啓発用のホームページを開設。9月から専門職員向け研修を14カ所で行う。市町村にアドバイザーを派遣してケアラー支援の体制づくりをサポートする。また、行政、福祉や学校などの関係機関、当事者団体、民生委員などによるネットワークづくりにも取り組む。

 

 昨年度に北海道が行ったケアラー実態調査で、ケアラーが求める支援は「相談できる人や場所」「精神的な支え」。また、相談支援機関からは「ケアラーの早期発見と相談支援」が必要なこと。道や市町村に求める取り組みとして「相談窓口の設置、人材の養成・確保」「ネットワーク構築」などが挙げられた。

 

 背景には「介護は家族が行うもの」という日本の文化があり、ケアラー自身も「自分がしなければ」という思いから相談に到らず、孤立しているケースが多いと考えられる。

 

 同日の開設式で中村健治センター長は「まずはケアラーに対しての理解を進めたい。社会としてしっかりこの課題に向き合い、ケアラー、ヤングケアラーになっても安心して住める街、地域社会を作りたい」と抱負を力強く語った。

 

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