介護施設で小学生を預かる「かいごTERAKOYA」(浜松市)

2022年0901 福祉新聞編集部
デイサービスの利用者と金魚すくいを楽しむ小学生=浜松中央長上苑提供

 介護人材確保策の一環として、浜松市は7月下旬から約1カ月間、市内の介護施設で職員の子どもと近隣の小学生を預かる「かいごTERAKOYA(寺子屋)」を初実施した。預かった子どもの見守りは大学生や高校生に担ってもらう全国でも珍しい試み。子どもと学生に介護を身近に感じてもらうことで、将来介護職を志す若者を増やす狙いがある。

 

 福祉職や福祉を学ぶ学生、有識者を交えた同市の介護人材確保推進検討会で、子どもを持つ職員の負担軽減や介護のイメージアップの必要性が指摘されており、市が事業化した。事業費は約500万円。

 

 参加した介護施設は▽特別養護老人ホーム「浜松中央長上苑」=社会福祉法人七恵会▽特養「さぎの宮寮」=峰栄会▽特定施設入居者生活介護「ケアハウスあんしんの里」=八生会▽特養「ケアホームしあわせ」=公友会▽「デイサービスきたはまの郷」=浜北医療生活協同組合――の5施設。

 

 1日当たりの受け入れ定員はおよそ10人とし、各施設が利用者を募った。施設によっては菓子代などの負担があるが、利用料は全施設で無料だ。

 

 浜松中央長上苑では会議室を活用して平日午前8時半から午後5時半まで受け入れた。小学生の子どもがいる職員と近隣住民から計25人の申し込みがあり、1日10人程度を預かった。子どもたちは勉強したり、同じ敷地にある保育所の園庭で遊んだり、デイサービスに通う高齢者と触れ合ったりして過ごした。

 

 子どもたちの見守り役となる学生は1日当たり2~3人が参加。学生の募集やシフト調整は市が委託した人材派遣会社が担うため、施設側の負担はない。学生への報酬も市が負担した。

 

 増田公基施設長は「介護施設の中に入ってもらう機会は少ないので、施設の明るい雰囲気を感じてもらう良いきっかけになった。地域の子育て世帯にも貢献でき、法人の公益的な取り組みにもつながった」と手応えを感じている。

 

 同市介護保険課によると、参加施設からは好評で、「来年度も継続したい」としている。

 

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