学生演劇で社協PR 高齢者からは再演リクエストも〈世田谷区〉

2022年1013 福祉新聞編集部
サロンの様子を紹介する学生たち

 ふれあい・いきいきサロンなど、社会福祉協議会の事業を多くの人に知ってもらおうと、都内の大学生が10月2日、演劇の公演をした。世田谷区玉川地域社会福祉協議会事務所と世田谷パブリックシアター(せたがや文化財団)の共催。観劇した高齢者からは再演のリクエストが上がり、同社協の中尾有紀子所長は「学生さんの都合次第だが、継続していきたい」と話している。

 

 「いい夫婦今じゃどうでもいい夫婦」「愛している? それがいまでは息してる?」

 

 台本作りのためにサロンを取材して仕入れた川柳の傑作編を紹介すると、爆笑の渦が広がった。

 

 企画の背景にあるのは新型コロナだ。高齢者の外出機会が減り、つながりを取り戻す必要を感じていた中尾さん。演劇の普及や人材育成に取り組む世田谷パブリックシアターの恵志美奈子さんに相談したところ、「学生ボランティアを募って演じてもらっては?」と提案された。

福祉人材育成も狙い

 「いいアイデアと思った。かねて社協はいい取り組みをしても広報が弱いと言われ、福祉人材の育成も大きな課題だった」と中尾さん。学生が社協や福祉に興味を持ち、その上で分かりやすく発信してくれるなら一石二鳥と考えた。

 

 社協の募集に応じた学生10人は、劇団を「新風」と命名。在籍する学校はばらばらで、福祉を専攻する人は少数派。ほんどが社協を初めて知った。演劇づくりはパブリックシアターが下支えした。

 

 劇のテーマは(1)サロン(2)高齢者が人生を振り返り、家族への思いを書き込む「私のノート」(同社協制作)(3)日常の金銭管理などを手伝う「地域福祉権利擁護事業」――の3本。それぞれ10分ほどの劇に仕上げた。

 

 午前、午後それぞれ定員20人の会場にキャンセル待ちが出るほどの期待に応えた学生は「社協に就職しようか考え中」「短期間の準備だったが、自分が成長できた」と口々に語った。

 

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