下北沢で養護施設が里親啓発イベント〈東京育成園〉

2022年1110 福祉新聞編集部
ともがきのメンバーと千葉理事長(右端)

 社会福祉法人東京育成園(千葉茂明理事長)の「フォスターホームサポートセンターともがき」は10月23日、東京都世田谷区の「下北線路街」で里親啓発イベントを開催した。

 

 会場は、小田急線の地下化に伴い、かつて線路があった場所に誕生したレンタルスペース「ボーナストラック」。今年5月に全面開業し、新エリアには商業施設や保育所、宿泊施設などもあり、休日は多くの人でにぎわう。

 

 イベントでは里親家庭を被写体にした写真展を開催。また、実際にこどもを養育した経験がある里親を招いた座談会や、里親家庭を舞台にした映画「育ててくれて、ありがとう」の上映を行い、いずれも事前申し込みで定員に達したという。

 

 また隣接スペースでは、東京育成園の呼び掛けで社会福祉法人武蔵野会や社会福祉法人大三島育徳会が運営する福祉作業所、ユー花園が出店し、飲み物やアクセサリー、花などを販売した。

 

 岩田祐一郎・ともがき副センター長は「人気エリアということもあり、里親制度を知らない人も含めて多くの人にアプローチできた」と話した。

 

 東京育成園は1899年に「東京孤児院」として創設。東北三陸地方の大津波で被害を受けた26人の孤児たちを創設者の北川波津氏が私財を投じて救済したのが始まりだ。現在、小舎の児童養護施設を11カ所と保育所1カ所などを運営している。

 

 これに加え、2020年から里親を支援するフォスタリング機関のともがきを世田谷区の委託で始めた。同法人の児童養護施設で経験を積んだ中堅職員4人が所属し、里親のリクルートや、登録手続きのサポート、里親向けの研修なども実施。同区の里親登録者数は増加傾向にあるという。

 

 千葉理事長は里親支援に乗り出した理由について「これまでこどもが施設から里親に行けば縁が切れることを課題に感じていた」と説明。「施設が24時間運営だからこそ安心感もあるはず。1人のこどもの幸せを考えたとき、地域で協力しながら多様な選択肢を用意できれば」と話している。

 

福祉新聞の購読はこちら