多機能化に向けケア指標づくり目指す〈全国児童養護施設協議会〉

2022年1123 福祉新聞編集部
桑原会長

 全国児童養護施設協議会(桑原教修会長)は11月10、11両日に大分市内で、第75回研究協議会を開催した。大会で桑原会長は、専門的な支援が求められる中、ケアニーズを評価する指標づくりへの意欲を示した。

 

 現在、児童養護施設は小規模化や多機能化が進んでいる。また障害のあるこどもも増え、より高度な専門性も求められている。

 

 そうした中、大会で桑原会長は小規模化を進めるだけではこどもを守ることはできないと強調。厚生労働省が2017年に策定したビジョンについても「こどもの育ちを論議せず、施設否定を正論としている」などと改めて指摘した。

 

 一方、桑原会長はケアニーズの高いケースへの対応が求められる中で、こどもの状態を評価する仕組みが必要との考えを表明した。

 

 具体的にはこどもの情緒と行動を包括的に評価する「CBCL」の手法を活用。すでに全国19カ所の施設で暮らす約600人を対象に調査しているという。

 

 桑原会長は調査を踏まえ、エビデンスに基づいた職員配置や措置費の基準を提言する意欲を示し「ケアニーズによっては、こども1人当たり複数の人員を配置することが当然になる」と述べた。

施設の役割を議論

 2日目のシンポジウムには、浅田浩司・元岡山県倉敷児童相談所長、相澤仁・大分大教授、横川伸・全養協副会長が登壇した。

 

 浅田元所長は、児童養護施設の今後の役割について「地域の実情に合わせ、各施設が主体的に必要な支援を選び、発信していくことが必要」と話した。

 

 相澤教授は、こどもが権利を主張するアドボカシーに向け、都道府県が総合的に体制整備を進めるべきだと強調。施設に対して「小さなことでも丁寧に傾聴しながら、こどもの自己決定を促し続けてほしい」と呼び掛けた。

 

 また、横川副会長は施設の多機能化に向け「理念や目標を実現できるかは職員の協力がカギだ。個別的養育も地域支援も最終的には人の問題になる」と提起した。

 

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