小豆島でオリーブ栽培のB型事業所 工賃向上と地域振興に(香川)

2022年1124 福祉新聞編集部
オリーブの実を収穫する利用者

 日本で初めてオリーブの栽培に成功した小豆島(香川県)。オリーブを栽培して商品化する事業に取り組む多機能型障害福祉事業所「ひまわりの家」(社会福祉法人ひまわり福祉会)は、工賃向上と地域振興の〝一石二鳥〟の成果を上げている。

 

 法人の農園(計1万8400平方メートル)などでオリーブの木550本を栽培。収穫した実はオリーブオイルや新漬け(塩漬け)にして地元のホテルや物産店に卸すほか、インターネットでも販売している。

 

 実の収穫、搾油、瓶詰めなどの作業は就労継続支援B型事業所の利用者(26人)が特性や能力に応じて分担している。

 

 事業を始めたのは障害者自立支援法が施行された2006年。工賃向上を目指す当時の岡裕施設長(現理事長)が地元の篤志家から寄贈されたオリーブの苗木を職員や利用者が育てていた経験を生かし、事業化することを思いついた。

 

 島内外から、苗木の提供や専門家による指導を受け、12年に念願の自家製オイルの製造・販売を実現させた。現在は企業や個人から農園管理や搾油も請け負うなど島のオリーブ産業を支えるまでに成長。施設の主力事業になっている。

 

 利用者1人当たりの月額平均工賃はオリーブ事業に乗り出す前の9000円台から今では2万5000円台を推移している。

収穫量は下降線

 順風満帆にみえるオリーブ事業だが、課題もある。実の収穫量は17年(4600キロ)をピークに下降線をたどっている。主な原因は木の高齢化や害虫などだが、利用者の作業効率の低下も影響している。

 

 利用者の平均年齢は43歳で年々高齢化が進み、作業能力や気力が低下している。岡理事長は「農業法人は営利を目指せばいいが、我々は福祉の立場。現状の工賃を維持したいが、利用者のやりがいを度外視して工賃の額だけにとらわれるのは違う」と農福連携の難しさも感じている。

 

 オリーブ事業の売り上げは15年度の1030万円をピークに減少。コロナ禍の影響も受け、昨年度は689万円だった。

 

 島全体で人口減や高齢化が進む中、今後もオリーブ事業を続ける意思は固い。来年度には島で初の特別支援学校が開校されることを見据え、「障害者の働く場としてオリーブ農園作業は重要になる。利用者、職員が力を合わせて頑張る」と意気込む。これからもオリーブ栽培を通じ、障害者の幸せと地域活性化を図っていく。

 

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