母子世帯の子、進学率66.5% 厚労省調査で初公表

2023年0119 福祉新聞編集部
ひとり親世帯のこどもの高卒後の進路

 厚生労働省は12月26日、全国のひとり親世帯を対象とした2021年度の実態調査の結果を発表した。ひとり親世帯のこどもの高校卒業後の進学率(大学、短大、専修学校・各種学校に進学した人の割合)は、母子世帯が66・5%、父子世帯が57・9%だった。

 

 ひとり親世帯のこどもの高卒後の進学率は、政府の「子どもの貧困対策大綱」(19年11月29日閣議決定)が58・5%(16年11月1日現在)と公表したが、母子世帯、父子世帯それぞれのこどもの進学率が明らかになるのは初めて。

 

 湯澤直美・立教大教授(社会福祉学)は本紙の取材に「母数が少ないものの、父子世帯にも着目して数値を公表した意義は大きい。進路選択の背後にある困難な状況について、より詳細な調査が必要だ」と話している。

 

 ひとり親世帯を含むすべての世帯のこどもの高卒後進学率(文部科学省調査)は70%台で推移。特に大学進学率は、全世帯のこども(54・9%)と比べてひとり親世帯のこどもは低い。

 

 調査は5年に1度行うもの。母子世帯のこどもの高卒後の進路で最も多いのは「大学」(41・4%)。一方、父子世帯のこどもで最も多いのは「就労」(36・1%)で、「大学」は28・5%だった。

 

 母子世帯数は119万5000世帯で、母親自身の平均年収は272万円。父子世帯は14万9000世帯で、父親自身の平均年収は518万円(数値はいずれも推計)。

 

 調査は21年11月1日に実施。国勢調査の調査区から無作為抽出した母子世帯2653、父子世帯866を集計客体とした。ひとり親世帯とは、満20歳未満の未婚者が父親または母親のいずれかに養育される世帯を指す。

 

 父母のいないこどもが祖父母などに養育される「養育者世帯」(今回は93世帯を集計)を加えると「ひとり親世帯等」となる。

 

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