日本の幼児教育を学ぶ カンボジアの行政官ら視察

2023年0124 福祉新聞編集部
認定こども園を視察した=天竜厚生会提供

 カンボジアで幼児教育を担当する官僚や現場の教員ら9人が12月9~16日、浜松市の社会福祉法人天竜厚生会(山本たつ子理事長)で研修し、認定こども園などを視察した。カンボジアへの幼児教育支援はシャンティ国際ボランティア会(SVA)などと協力して2016年にスタートしており、厚生会が訪日研修を受け入れるのは今回で4回目になる。

 

 12月15日、認定こども園「子育てセンターしばもと」(浜松市)の5歳児クラスは4グループに分かれ、廃材を使った電車の工作に取り組んだ。こどもたちはグループ内で相談して色や飾りつけを決め、試行錯誤しながら電車を完成させた。

 

 こどもたちの活動をオンラインで視察したカンボジアの官僚らは、現場の保育教諭が、こどもが主体となって活動できるよう支援している様子に驚き、「カンボジアだったら、先生が指導してすべてのグループで全く同じ電車が出来上がると思う」「泣いているこどもの意見もくみ入れ、意見が食い違ってもこども同士で話し合っている。その過程が大切だ」といった声が上がった。

 

 SVAなどによると、日本の幼児教育はこども主体で、遊びを通じて非認知能力を育むことを重視するが、カンボジアは社会や国語などの「科目」を教員が指導する形式をとり、小学校入学前の準備段階として認知能力の向上に主眼が置かれているという。

 

 参加したスヴァイトム中央幼稚園教員のヴォン・ラニーさんは「幼児教育だけでなく、保護者支援や地域との関わりも参考になった。カンボジアで生かしていきたい」と意気込んだ。

 

 厚生会の保育教諭でつくる「チームカンボジア」リーダーの河合育世さん(子育てセンターみゅうのおか園長)は「他国に貢献できるのは現場職員の誇りになり、日々の実践を改めて振り返るきっかけにもなっている。日本の保育をそのまま当てはめるのではなく、現地の環境に反映できるよう今後も支援に協力していきたい」と話している。

 

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