三重県名張市が未就園児家庭を支援 「マイ保育ステーション」で育児相談も

2023年0131 福祉新聞編集部
にぎわいをみせるマイ保育ステーション

 保育所の多機能化に向け、4月に発足するこども家庭庁は未就園児の預かりモデル事業に乗り出す。独自で未就園児家庭を支援する自治体もあり、三重県名張市は「マイ保育ステーション」と銘打ち、未就園児家庭が自由に遊び、保育士にも育児相談できる場を設けている。

 

 昨年12月19日、名張市立赤目保育所のマイ保育ステーション「おひさま」では多くの親子でにぎわい、こどもと遊んだり、他の親子と交流したりして思い思いに過ごした。専任の保育士もおり、遊びや絵本の読み聞かせに参加し、育児相談にも対応する。母親の一人は「保育所への育児相談はハードルが高く感じるが、このような場があると気軽に相談できる。保育士さんもいるので安心して遊べる」と笑顔で話す。

 

 「おひさま」の専任保育士は「保護者の中には相談を望まない人もいるので、対応の見極めには細心の注意を払っている。親子が安心してもらえるよう成長していきたい」と意気込む。

 

 未就園児家庭の育児不安解消と孤立防止に向け、マイ保育ステーション事業は2012年度に同保育所と市社会福祉協議会が運営する保育所の計2カ所でスタート。市内には「こども支援センター」が2カ所あるが、保護者からは「集う場を増やしてほしい」との声が上がっていた。

 

 現在は社会福祉法人名張育成会運営の認定こども園を含めた3カ所で実施し、平日午前9時から午後4時までの好きな時間に無料で利用できる。市が人件費を負担して専任の保育士らをそれぞれ2~3人配置している。

 

 加えて、満1歳以上の未就園児を対象に毎年度1回、半日の無料保育体験を提供するほか、「おひさま」では毎週月曜、「産後ママゆったりスペース」も設け、助産師による産前産後支援を実施している。

 

 市保育幼稚園室によると、マイ保育ステーションの利用人数はコロナの影響で落ち込み、21年度は3カ所で延べ4869人(前年度比1352人減)。この3カ所とこども支援センター(2カ所)で市内全地域をカバーできていることから、今後もこの拠点数を維持したい考えだ。

 

 同室の担当者は「利用者数に主眼を置くのではなく、未就園児家庭が気兼ねなく集え、悩みを吐き出せる場を整えておくことが親子の安心につながる」と力を込める。

 

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