合理的配慮、民間も義務に 改正障害者差別解消法の施行日を閣議決定

2023年0329 福祉新聞編集部
第5次障害者基本計画の成果目標(抜粋)

 政府は3月14日、改正障害者差別解消法の施行日を、2024年4月1日とする政令を閣議決定した。改正法は民間の事業者にも障害者に合理的配慮を提供するよう義務付けるもので、施行日が決まっていなかった。国や自治体にはすでに義務がある。

 

 政府は同日、改正法に基づく具体的な対応をまとめた基本方針も改定した。同法が禁止する「不当な差別的取り扱い」「合理的配慮の不提供」について、該当する例と該当しない例を書き込んだ。

 

 不特定多数の障害者と接することを想定して、事業者があらかじめ店員に研修するといった「環境の整備」と、障害者一人ひとりの個別性に応じて行う「合理的配慮」の違いも事例で説明した。

 

 差別を感じた障害者や対応に困った事業者が相談できる窓口は、内閣府が中心となって明確にする。これまでは相談窓口が不明瞭で、障害者からは不満の声が上がっていた。

 

 改正法は21年5月に成立。施行は公布日(同6月4日)から3年以内としていた。

第5次基本計画も決定 女性、こどもに配慮

 同日、23年度から5カ年の第5次障害者基本計画も閣議決定された。各分野に共通する横断的視点として「障害のある女性」「障害のあるこども」に配慮するよう求めた。これに基づき、都道府県・市町村が計画を作る。

 

 基本理念として「共生社会」を掲げ、その実現に向けて社会的障壁を取り除くことを主眼として施策を並べた。

 

 障害者基本計画は、障害者基本法に基づくもの。福祉だけでなく住まい、移動、教育、就労といった政府の施策全体を障害者の立場で点検し、達成すべき目標を定めている。

 

 差別解消法の基本方針、障害者基本計画はいずれも内閣府の障害者政策委員会が見直しの議論を重ねていた。

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