理解しましょう! 認知症〈高齢者のリハビリ〉

2023年0331 福祉新聞編集部

 わが国では認知症の高齢者の数は2025年に700万人を超えると予想されています。65歳以上の5人に1人が認知症になるとされ、認知症高齢者の生活や取り巻く環境などが社会問題となっています。

 

 認知症は記憶、見当識、知識、行為、認知、言語、人格など種々の脳の機能が障害されることにより、自身の置かれた状況に対しての判断や行動が障害された状態です。認知症は多様な原因で引き起こされる症候群と位置づけられ、その病態や症状は多彩です。

 

 認知症の主な原因疾患として、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭葉変性症があり、4大認知症と言われています。特にアルツハイマー型は認知症全体の50%を占める代表的な疾患です=

 

認知症基礎疾患の内訳

 

一般に認知症患者の症状は、中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分けられます。

 

 中核症状には記憶障害、遂行機能障害(実行機能障害)、失行、失認、失語などがあります。

 

 記憶障害では、新しい情報を学習することができなくなり、また、以前学習したことを思い出せないなどの症状がみられます。

 

 遂行機能障害では、行動の計画や順序立てることが障害され、行動の開始ができなくなったり、同じ動作を繰り返したり、衝動的に行動するなどさまざまな症状がみられます。

 

 失行は、運動機能は損なわれていませんが、動作を行う能力が障害され、服の着方が分からない、道具がうまく使えないなどの症状が出ます。

 

 失認は、見たり聞いたりする機能そのものは障害されていませんが、対象物の見分けがつかず、道に迷ったり、物を探せなくなったりするなどの症状です。 失語症の原因の一つにアルツハイマー病がありますが、言葉自体を忘れたり、思い出すことができなくなり、進行すると文字を読んだり、聞いた言葉が分からなくなります。

 

 BPSDとは身体症状や環境に影響され、二次的に出現する精神症状や行動障害をいい、妄想、幻覚、不安、焦燥、抑うつ、徘徊、攻撃的行動、睡眠障害、食行動異常(過食・異食)、介護への抵抗などが挙げられます。

 

 BPSDの出現は患者、家族、介護者に大きな負担をもたらし、QOL(生活の質)を大きく損なう原因となりますが、BPSDは「よい介護」と「適切な治療」で改善する可能性があるため、的確な対応が求められます。

 

 認知症の患者さんは混乱や不安からおびえへと発展し、自分が安心できる場所や状況を求められることが多く、悲しみや怒りなど「負」の感情が生じやすいとされています。また、他者から自尊心を傷つけられた場合、周囲との関わりを避けようとする心理状態であるともされています。

 

 一方、認知症の症状が進行しても感情は最後まで残ることから、介護者はコミュニケーションの中で患者さんの心理的側面に十分留意して対応することが大切です。

 

 具体的なポイントとして、(1)自主性を尊重する(2)否定や無理な訂正は避け、見守る(3)感情に訴えかける(4)説得よりも共感する(5)急激な環境変化を避ける(6)コミュニケーション方法に注意する(表情や声の大きさなど)――などを押さえ、患者さんの自尊心を大切にし、安心感を与えられるような対応をしていきましょう。

 

筆者=山口務 所沢明生病院 係長

監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長

 

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