障害者雇用代行ビジネス、1000社以上が利用 厚労省が初の実態調査

2023年0426 福祉新聞編集部
代行ビジネスの実態が報告された分科会

 企業に貸農園などの働く場を提供し、就労を希望する障害者も紹介して採用活動や雇用管理を事実上代行するビジネスを展開する企業が23社あることが、厚生労働省の初の実態調査で分かった。

 

 障害者雇用促進法に基づく法定雇用率を達成しようと、代行を利用する企業(以下、利用企業)が1081社以上で、利用企業に雇われて働く障害者が6568人以上いることも分かった。2022年1月以降、各地の労働局が調査した。

 

 10年ほど前から「農園に障害者を放置して時間つぶしさせるだけ」といった不適切な雇用実態が指摘され、国会でもたびたび取り上げられてきた代行ビジネスだが、どの程度広がっているか把握されていなかった。

 

 4月17日の労働政策審議会障害者雇用分科会(座長=山川隆一・明治大教授)に調査結果を報告した厚労省は、代行ビジネスについて「否定されるものではない」(障害者雇用対策課)とした。

 

 今後も実態調査を継続し、代行ビジネスを利用する企業向けにパンフレットを作り、法の趣旨に背かないよう注意喚起するという。

 

 代行社の多くは農園や働きたい障害者、その管理者を用意する。利用企業は障害者を雇って給料を支払い、農園利用料や紹介料を代行社に支払う。

 

 法定雇用率をお金で買う構図だ。利用企業は、障害者の採用や障害者に任せる仕事の切り出し、雇用後の能力開発などの手間を省くこともできる。 

 

 代行ビジネス自体は違法でないというのが厚労省の見解だが、同日の分科会では「今後、法定雇用率が上がるので、こうしたビジネスを助長するのではないかと懸念する」といった声が上がった。

 

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