サッカースタジアムに障害者施設 FC今治と来島会がコラボ(愛媛)

2023年0516 福祉新聞編集部
感覚統合療育の一環でつり遊具で遊ぶ児童(らびっつ)

 社会福祉法人とプロサッカークラブの異色のコラボでインクルーシブな社会を地域に広めていく――。

 

 愛媛県今治市の来島会(越智清仁理事長)は4月1日、地元のFC今治の今治里山スタジアム敷地内に、障害福祉サービスを提供する複合福祉施設「コミュニティービレッジきとなる」を開設した。サッカースタジアムに福祉施設ができるのは全国で初めてだという。

 

 スタジアムは今治駅から車で約10分。サッカーの試合がある日はもちろん、市の運動施設やショッピングモールが隣接してにぎわい、犬の散歩やウォーキングなどで人が行き交う。その中に福祉施設があることで自然と障害者との触れ合いが生まれ、理解を広め、インクルーシブな社会を醸成していく。

 

 新施設は木造平屋で広さ420平方メートル。総工費1億9000万円。二つの事業所があり、障害児者が地域と交流しながら社会で生活するためのスキルを学んでいく。

 

 自立訓練と就労移行支援(各定員10人)を行う「ジョブサポートセンターここすた」は、18歳以上を対象に最長4年かけて社会で働き自己実現する力を育む。体力づくりのほか、健康管理、家事など自立して暮らすための力を身に付け、得意なことを探し、職場体験を通じて企業に就職することを目指す。

 

 放課後等デイサービス(定員20人)と保育所等訪問支援を行う「らびっつ」は、障害児が自分らしく生きる力を育む。感覚統合(脳に入る感覚を整理する)支援はボルダリングや里山で体を動かして心と体のバランス感覚を養い、コミュニケーション支援や自立生活の準備も行う。保育所等訪問支援は、友人との関わりに課題のあるこどもらの小学校や児童養護施設などを訪ね、集団生活に適応できるようサポートする。

 

 越智理事長は「インクルーシブを体感することで、社会にそれを広げる拠点としてこの場所を育てていきたい」と意気込んでいる。

 

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