運動を続けて良くなることを自覚〈高齢者のリハビリ〉

2023年0602 福祉新聞編集部

 今回は患者の中で「運動して良かった!」と感じてくれた人がいたので紹介します。この患者は80歳代の女性です。大腿骨頚部骨折を受傷し、私が勤務している回復期の病院に入院後、当院の通所リハビリを継続している人です。

突然起こった骨折

 入院前は調理場などでの仕事を80歳代までしていました。骨折するまでは、仕事をすることやお孫さんのお守りが運動になっていたようです。

 

 アクティブに生活していましたが、スーパーに自転車で買い物に行った際にバランスを崩し転倒して骨折してしまいました。骨折後は急性期病院で手術をし、リハビリ目的で当院の回復期病院に入院しました。

入院生活と運動

 入院中はさまざまな不安もあったようですが、リハビリを継続することで次第に身体が良くなっていくことを感じていました。そして、担当した理学療法士、作業療法士が資料を通じて、さまざまな運動を分かりやすく、熱心に教えたことがとても良かったようです。自身では個別リハビリの時間以外も教わった運動を自主的に継続していました。その成果もあり、退院時は独歩で移動できるまで回復し、退院しました。

退院後の生活と運動

 退院後は家事だけでなく、カートを押して家族と一緒に買い物にも行っています。日常生活でもテレビを見ながら、入院中に教えてもらった運動をしています。疲れたときはベッドに横になりますが、横になっても運動をします。

 

 つらい運動でも継続することで身体が運動に慣れ、逆に楽になるそうです。

 

 現在、患者は当院の通所リハビリを継続しています。自身で段差昇降やマシントレーニングなどを積極的に行い、周囲の人ともコミュニケーションを取りながら楽しく運動を続けています。

骨折と運動の経験

 この患者は、入院前は「運動をする」ということをあまり意識していなかったそうです。退院後は「コツコツと運動を続ける」ことで身体が良くなっていることを自覚しています。骨折後の痛みはありますが、運動を取り入れた生活を続ける中で、それが徐々に軽減しているようで、「運動を継続してきて良かった」と感じてくれています。

 

 運動してきて良かったことは近所の人にも伝えながら、励まし合って続けているとのことです。そして「今できることをもっと探していきたい」と、思考はとてもアクティブです。

 

 運動をすることで身体が良くなるだけでなく、気持ちもアクティブになることを教えてくれた患者でした。改めて継続して運動していくことの大事さを感じました。

 

 「運動をできるようにする」だけではなく、「運動を続けたい」と思ってもらえるようにすることが、私たちスタッフの大切な仕事なのだと感じさせてくれた患者さんを紹介しました。

 

 このように運動を継続してアクティブな思考を持ってくれる人が増えるのはありがたいことですね。

 

 

筆者=風間健二 みどり野リハビリテーション病院 課長代理

監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長

 

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