〈社会福祉ヒーローズ〉チャレンジ精神を引き出す 利用者、地域の人を笑顔に

2023年0606 福祉新聞編集部
利用者と調理をする三重野さん(左)

博愛会 キツキテラス(大分・杵築市)

支援員 三重野猛さん

 

こどもの頃から旅行が好きだった三重野さんは大学で観光業を学んだ後、旅行会社に就職したが、「売り上げ中心」で自分が思い描いていた業務内容と違うことから退職した。地元の大分に戻り、社会福祉法人が運営するリゾートホテルに興味を持ち、現法人に就職した。それまで障害者と接したことがほとんどなかったが、「利用者が人懐っこく接してくれたことで不安が吹き飛んだ」と言う。

 

現在は2020年にオープンした西日本最大級の海鮮バーベキューレストラン「キツキテラス」の店長を務める。コロナ禍での門出だったが、テーブル席を離すなどの感染症対策を徹底し、地元の食材にこだわることで評判の店舗になった。

 

三重野さんが支援で心掛けているのは、利用者の希望や意見を尊重しつつ、チャレンジ精神を引き出すことだ。

 

例えば、バックヤードの仕事をしていた精神障害のあるAさんは、職員の隙をみては休憩室で寝入ってしまうことがあった。そこで思い切ってホールに配置替えすると、生き生きと働いて体力もつき、安定して仕事に取り組めるようになった。

 

発達障害のあるBさんは、おしゃれで仕事覚えが早かった。反面、仕事に投げやりな言動もみられたため「キツキテラスの看板を一人ひとりが背負っている。プロの現場なんだ」と伝え続けたところ、社会人としての自覚が芽生え、職員と変わらない動きができるようになった。

 

キツキテラスはこれまで多くの取材を受けてきたが、それは「福祉」ではなく「グルメ」としてであり、本当に良いものを提供し、良い接客ができていると自負する。その証しにグーグルで4点以上の高評価を得ている。レストランが成功することで利用者の働く場の確保につながり、県内で有数の高工賃も実現している。

 

三重野さんは「人の喜ぶ顔を見たいと思って一度は旅行会社に就職したが、今は利用者も地域の人もみんな笑顔になり、その笑顔を間近で見ることができている」と話す。「これからも杵築市、地域経済を含めて盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

 

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