施設長には公的資格が必要
井本義孝 ミッドナイトミッションのぞみ会常務理事

2014年0224 福祉新聞編集部
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

 社会福祉法人の在り方をめぐって、内部留保が過大であるとか、免税ではなく担税にすべきであるとか議論されていると仄聞する。しかし、施設ガバナンスの中心的存在である施設長の在り方やその資質、資格等の吟味はいまだされていないように思われる。現在、全国に約5万5000余の施設がある以上、同数の施設長が存在すると考えても大きな誤りではないであろう。

 

 少子高齢社会の現代、ますます増加する認知症高齢者、うつ病をはじめ精神疾患の患者への対策は、在宅のみで乗り切れるものでなく、必然的に施設やグループホームのニーズは高まり、その結果、運営責任者である施設長の資質は人格識見はもとより、運営上の知見においても高度のものが求められるのは当然と言わざるを得ない。

 

 このように考えれば、種別により若干の差異はあるものの、おおむね社会福祉事業に2年以上従事した者、全国社会福祉協議会の講習修了者とされている現行の施設長の資格要件は、人の命を対象とする組織の長としての資格と言えるであろうか。

 

 現在多発する施設の虐待、また故なき差別的言動に傷つく多くの高齢者、障害者、児童がいるのも、施設長の資質に起因していることもあり得よう。2011年に障害者虐待防止法、また障害者差別解消法が13年に制定された。それにもかかわらず連日のように社会的弱者の立場の人に対する差別、暴力、虐待等の人権侵害事案が報道されている。

 

 全社協は35年前から施設長の役割とその社会的重要性から、日本福祉施設士会を職能団体として位置づけ、施設長に1年にわたる研修を課し、修了者に「福祉施設士」の称号を付与してきた。

 

 かつて故・灘尾弘吉元全社協会長も、社会福祉の専門性とその質的向上を図るため職員の専門的資格制度の確立に言及されていた。温故知新、今日の時代こそ、施設長の専門職としての位置づけが必要であり、その公的資格として「福祉施設士」が最適であることも主張したい。

    • このエントリーをはてなブックマークに追加