財務情報公開で良質な経営に 御子柴 智義・湘南アフタケア協会理事長 

2014年0421 福祉新聞編集部
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御子柴 智義さん

 

 厚生労働省の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」では、社会福祉法人に関し、さまざまな角度での分析と検討がなされ、提案が行われている。

 

 一方、一般社会において「社会福祉事業」は理解されているが、「社会福祉法人」に関して正しく理解を得られているとは言い難い。

 

 さて、その理解を得る手段の一つとして「社会福祉法人の情報公開」に焦点を当てたい。ウェブサイトなどで各法人はさまざまな情報を公開しているが、財務諸表を公開している法人は少数である。財務諸表の公開は、経営者にとって全身をさらけ出すようでつらいかもしれないが、公益法人としての社会的責務といえよう。

 

 株式会社はヒト・モノ・カネを最適配分し、生産(もしくはサービス提供)し、利益の最大化を図ってきた。しかし、近年はそこに社会的要素を加えなければならなくなってきている。環境汚染・破壊の防止、雇用機会の均等化(女性登用、障がい者雇用の義務化)等である。

 

 社会福祉法人においても、ヒト・モノ・カネの最適配分が、最適なサービス提供につながる。社会福祉法人のみに課された使命を除き、一般社会からの要求は、株式会社に対してのものと何ら変わらないものであろう。株式会社に財務諸表の公開義務があるにもかかわらず、社会福祉法人が財務諸表を公開しない現状は、社会的責務を果たしていると言えるだろうか。

 

 社会福祉法人が財務諸表を公開すれば、内容によっては批判を受けるかもしれない。経営者にとっては厳しい反応も予想される。しかし、会計基準通り厳格に処理し、自治体の監査も受けているのであれば、全く恥じることはない。

 

 最も重要なことは、経営者が財務諸表の内容を正確に把握し、法人活動が満足すべきものか否かを分析することである。利用者サービスは適正か? 人件費比率は? 設備投資は? 対前年比は? 等々。同時に他法人と比較することによって、自法人の長所及び短所の把握にもつながる。対外的には貸借対照表上の繰越金の多寡が俎上にのぼることになるかもしれないが、経営者として合理的な説明ができれば問題ない。

 

 以上から、情報公開は単に対外的に透明性を高めるという作用だけではなく、経営を良質にする効果をも併せ持つ。

 

 重ねて言うが、公益法人(社会福祉法人)として情報公開(財務諸表の公開)は、社会的責務である。

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