精神障害者「退院して自由に」 意向調査で浮き彫り

2014年0519 福祉新聞編集部
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 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策にかかる検討会の第2回会合が12日に厚生労働省で開かれた。社会的入院の解消のため精神病床を居住施設に転換する案も議題になる中、入院患者の意向調査などから「自由になりたい」「病院の敷地内にある住まいなら退院したくない」といった声が浮き彫りになった。

 

 厚労省が同日明らかにした調査結果は、精神科病院に1年以上入院する170人と退院した40人を精神保健福祉士やピアサポーターが訪問し、退院の希望などを聴いたもの。サンプル数は多くないが議論の材料とした。

 

 入院中の人は、124人(73%)が「退院したい」と回答。退院したくないとした人たちは「家族が反対している」などの理由を挙げ、以前は退院したかったのか尋ねると「退院したかった」との答えが48%あった。

 

 「退院するとしたらどこに住みたいか」という質問では自宅がトップで、グループホームと賃貸住宅が続く。「その住まいが病院の敷地内なら」と聞くと、退院したくないとの答えが60%だった。「病院の中はいや」「退院した気にならない」などの理由が挙がった。

 

 また、退院した人たちが退院して良かったことに挙げたのは「自由がある」が60%で突出。退院後の住まいとして病院の敷地に居住施設があったら住みたかったかと尋ねると、「住みたくなかった」の方が多かった。

 

 一方、病院職員の意見も聴くと、退院の際に必要と思う住まいはグループホームが63%で最多。住まいを病院敷地内に設置した場合の退院可能性を問うと、68%が「可能性あり」とした。

 

 同日はヒアリングも実施。意向調査を担った事業者の一つ、社会福祉法人巣立ち会の田尾有樹子理事長は「病院職員は敷地内のグループホームが安心だと考えているが、患者の希望とは大きく食い違う。退院について患者と十分にコミュニケーションも取っていない」と指摘する。

 

 大阪精神医療人権センターの山本深雪副代表は、自身の入院体験と病棟訪問活動を踏まえ「退院意欲の喚起という言葉は患者に失礼で、国や病院、地域社会の退院支援意欲の喚起が焦点だ。退院を支える地域生活支援の人手への予算計上が着実な道」と訴え、病床転換型居住施設を認めることに反対した。

 

 これらを受け、今回は「精神科は他科より診療報酬が低いため病床を埋めるしかないという病院の経営構造こそ変えるべきだ」との意見が相次いだ。

 

 厚労省は6月中の取りまとめを目指す。

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