全日本手をつなぐ育成会が解散届け 任意団体で再起へ

2014年0630 福祉新聞編集部
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 知的障害者の親などで構成する社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」(久保厚子理事長)が62年の歴史に幕を閉じた。5月末で職員を全員解雇し、6月18日に東京都へ解散の届け出を提出。今後は任意団体の連合会として久保氏が会長に就き、各地の育成会が機能を分担しながら活動を続けるという。

 

 社会福祉法人格を返上

 「会員の皆様に心配をおかけして、申し訳ない」ーー。

 

 全日本手をつなぐ育成会の理事長だった久保厚子氏は6月16日、兵庫県内で開いた権利擁護セミナーで、会員を前にこう切り出した。全日本育成会の社会福祉法人格返上を決議後、公の場で話したのは初めて。

 

 不安な表情を浮かべる会員もいる中、久保氏は「後ろ向きの解散ではなく、先を見越して法人格を返上する」と強調し、今後は身の丈に合った経営をしていくと説明した。

 

 セミナーの主催は「全国手をつなぐ育成会連合会」。各地の支部が会員となり、6月1日から暫定的に活動を始めた任意団体だ。執行部は全日本育成会の幹部がそのままスライドしたが、専従職員はいない。

 

 セミナーに参加したある会員は「今日、会場で法人格を返上すると聞いた。今後も会員の声を政府に届けられるのだろうか」と驚いていた。

 

理由は会員の減少

 

 法人格を返上する理由は、会員減少に伴う財政の悪化だという。

 

 全日本育成会の主な収入の柱は、賛助会員による会費と、都道府県や政令市にある56支部の負担金。全国の支部を合わせた会員は約24万人に上るものの、そのまま本部の会費収入になるわけではない。

 

 特に大きな割合を占めるのが、約3万人に上る賛助会員費だ。年3600円を支払うと、障害者施策の最新の解説などが載った機関誌が毎月届き、会員には貴重な情報源になっていた。2012年度の総額は1億2000万円ほどに上る。

 

 ところが、ピーク時に5万部を発行していた機関誌は、補助金カットもあり、3万部ほどに落ち込んだ。久保氏は、地域ごとに差はあるとしながらも、「インターネットの普及で情報収集が容易になった影響は大きい」と語る。

 

 一方で、各支部に、さらなる負担を強いることも難しい。そもそも負担金の総額は3200万円と、賛助会員費による収入の4分の1に過ぎない。ある都道府県の支部は「近年、障害者への法整備がある程度進んで支援メニューが増えたことで、運動体としての社会的役割は小さくなっているのでは」と話す。

 

社会福祉法人改革も影響

 

 さらに、法人格の返上を決定的にした要因が、現在、政府や厚生労働省などで進む社会福祉法人改革だという。

 

 近年、税制優遇される社会福祉法人に対する風当たりは強く、地域での社会貢献の義務化などが議論されている。ところが、全日本育成会が行う社会福祉法に基づく事業は、電話相談だけだ。

 

 もともと全日本育成会は入所施設をつくるため、1955年に社会福祉法人格を取得したが、今は運営していない。「相談事業だけで社会福祉法人格を維持できる社会情勢ではない」と久保氏は言う。

 

今後は各地域で機能を分担

  これまで全日本育成会が行ってきた事業は、7月24日にも正式に発足する全国育成会連合会が担う見通し。ただ、具体的な事業については、権利擁護事業は兵庫県支部、政策提言は静岡県支部というように、各支部が分担して引き継ぐ。事務局機能は久保氏のいる滋賀県支部が担う。

 

 また、電話相談も続けたい考えで、機関誌の発行は外部団体に委託する。全日本育成会の基本財産については、国庫に返納せず、どこかの社会福祉法人が受け継ぐ予定だという。

 

 

➡次ページ 久保理事長のインタビュー

 

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