都道府県で指導に温度差 福祉施設での腰痛予防の取り組み

2014年0728 福祉新聞編集部
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改訂腰痛予防対策指針(介護・看護作業)の概要

 

 結果から見えるのは、自治体間で取り組みに差があることだ。

 

 その一因は国の機関の都道府県労働局と自治体労働部局との連携の度合いにあり、独自に周知していない自治体では「労働部局から説明もないため、今回の照会で改めて認識した」と答えたところがあった。

 

 一方、周知している自治体では「労働局と連携し今後も継続して腰痛予防対策を周知する」(埼玉県・香川県)、「介護事業所への集団指導で労働局から説明してもらう」(佐賀県)などの取り組みを予定しているところもあった。

 

 また、改訂指針に対する福祉主管部局の取り組みが、指導監査に至る前の周知の段階にあることもうかがえた。

 

 独自に周知した自治体の中には「施設の認識や対策の実施状況を把握した上で必要な取り組みを検討する」「指導監査方針に盛り込むか現在検討中」との回答もあり、まずは周知や腰痛予防対策の現状把握に力点が置かれている。

 

 周知に力を入れている状況は労働局も同じで、今後周知が進めば、法人・施設の指導監査方針・事項に改訂指針の内容を盛り込む自治体が増えることが予想される。

 

 改訂指針の周知や行政指導は、労働災害減少の観点から、厚労省労働基準局安全衛生部と直轄機関の都道府県労働局を中心に行われている。

 

 厚労省は、介護保険施行後に福祉施設での腰痛が2.8倍に増えたことなどを受け、2013年2月に「第12次労働災害防止計画」を策定。重点指導目標の一つに「12年と比べ17年までに施設の腰痛を含む労災による休業4日以上の死傷者数を10%以上減少させる」ことを位置付けた。指針を改訂したのもこの目標を達成するためだ。

 

 指針改訂後、厚労省は、都道府県労働局に周知するよう指示したり、内容を分かりやすく伝えるパンフレットを作成したりしてきた。

 

 これを受け労働局では、自治体の福祉主管部局や施設にパンフレットを配布するなど周知してきた。法人・施設への集団指導時に説明した労働局もある。今は周知に重点を置いている段階だ。

 

 周知の柱は施設職員対象の腰痛予防講習会で、13年度は全都道府県で計51回実施。約2万5000人が参加した。14年度は参加対象を広げ、1県当たり2回以上実施する予定だ。

 

 一方、施設への直接指導は集団指導を中心に行う予定だ。改訂指針は法的拘束力をもたず、違反しても罰則を与える性格のものではないためだ。労災の程度によっては個別指導することもあるが、腰痛予防に特化した個別指導の計画はなく、他の労働問題で個別指導する施設があれば一緒に指導するという。

 

業界を挙げて

 

 厚労省が施設の腰痛予防対策に力を注ぐのは、運送業など他業種の腰痛による労災が減っているのに、介護・看護業では増えているからだ。その理由について厚労省は、介護労働者が増えていることと、予防対策の必要性が十分に浸透していないことを挙げる。

 

 「他の業界は全国団体を中心に、各事業所が目標達成に向け努力している。そうしないと『○○業界は労働環境が良くない』という評判になり、人材が集まらないからだ。目標達成は行政指導だけでできるものではない。福祉業界を挙げて労働安全衛生対策に取り組んでほしい」と厚労省労働衛生課は話す。

 

 労災防止計画は働きやすさを示す目安であり、目標を達成すれば業界としてアピールでき、人材確保にもつながる。各施設の努力はもちろん、福祉界全体の取り組みが必要だ。

 

 

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