リフト導入1年で使用頻度7割 100%目指し工夫こらす

2014年0825 福祉新聞編集部
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個浴では足が浴槽に当たらないよう2人介護を徹底する
個浴では足が浴槽に当たらないよう2人介護を徹底する

 リフトを導入して1年余りで、使用頻度を70%に引き上げた施設がある。静岡県熱海市の特別養護老人ホーム「海光園」だ。「時間が掛かる」「面倒くさい」など職員の都合で使われなくなるケースがある中、「利用者と職員のために絶対使う」という強い思いで100%の使用を目指している。

 

 社会福祉法人海光会(長谷川みほ理事長兼施設長)が運営する海光園は、1999年5月に開所した入所定員80人(従来型70人、ユニット型10人)、短期入所20人、利用者の平均要介護度4.0という施設。リフトは2013年5月に、長谷川理事長が職員の負担軽減と利用者の安全・安楽な移乗ケア実現のために提案したことをきっかけに導入した。

 

 当時、体の大きな人の移乗はバスタオルを使い2人で行っていた。力がいる上半身を男性が、足部を女性が持つなど安全面や腰痛予防に心がけていたが、女性2人で抱え上げることが多々あった。介護職員のアンケート結果では、86%が「腰への負担が大きい」と答えるなど腰痛対策は喫緊の課題だった。また、拘縮のある人の安全・安楽な移乗にも苦慮していた。

 

 「まずは試してみよう」。提案はすぐにリフトのデモ・試乗へとつながり、知り合いの紹介で㈱ミクニに来てもらった。その結果、乗り心地が良く、職員の負担軽減などに役立つと即決。使用予定者・家族の同意を得て、同社の床走行式リフト「マイティライトⅡ」を4台導入、現在リフトが必要な7人全員が活用している。

 

離床時間ずらすなど工夫

 

 導入に際しては「女性2人での移乗介護が困難」などの使用基準を作成するとともに、利用者ごとの離床回数と使用回数を記録。毎月の職員会議で「時間は掛かるけど必ず使う」よう周知したことや、朝の起床・食事などの繁忙時にも使えるように離床時間をずらすなどの業務改善をした結果、導入当初に利用者1人平均30%だった使用頻度は70%にまで上がった。

 

 5人が個浴可能に床走行式に合わせ1階のユニット型の個浴に設置した据え置き式リフト「マイティエースⅡ」は、想定以上の効果を生んだ。機械浴を利用していた6人中5人が個浴を使えるようになったことだ。

 

 機械浴槽のある3階への移動時間や着替えなどの待ち時間は減り、体が冷えることもなくなった。保湿クリ
ームがすぐ塗れるようになりスキンケアにも好影響。「ゆっくり入れるようになった」「安心して入れる」など利用者から喜びの声が上がっているという。

 

 リフトを導入して1年余り。職員の負担や転倒事故などのリスクは軽減され、リフト操作時の声かけにより利用者と職員のコミュニケーションが良くなった。こうしたリフトの効果を実感する一方、課題も明確になっているという。

 

 一つは忙しさを理由に従来の介護をしたり、使うことに臆病になったりしている職員に使用を徹底することだ。また、利用者に適したつり具の選定や、ベッドの昇降・背上げ機能を適正に使うなどより安全に使うための技術向上にも力を入れようと考えている。

 

 リフトを100%活用している施設をみると、定着までに最低5年かかっていることが多い。1年目で使用頻度を70%に上げた海光園は、リフト導入を考える施設の良い目標となるだろう。

 

ベッドの昇降機能活用など技術向上も課題だ

ベッドの昇降機能活用など技術向上も課題だ

 

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