SW機能を強化し存在意義を示す 川西基雄・全国軽費老人ホーム協議会理事長

2015年0122 福祉新聞編集部
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 日本総合研究所が昨年3月にまとめた「2013年度養護老人ホーム・軽費老人ホームの今後のあり方も含めた社会福祉法人の新たな役割に関する調査研究事業」で、軽費老人ホームの現状と課題が次のように整理され、地域包括ケアシステム下での方向性が示された。

 

①入居者ニーズの多様化問題
 入居者の過半数は要介護者。低所得、虐待、貧困などによる専門スキルを要する支援ニーズの増大など

 

②地方分権化・一般財源化による財源問題
 事務費補助金の加算撤廃や削減傾向による事業費の縮減

 

③重度化対応問題
 特定施設指定の自治体による総量規制など

 

④施設再生産の問題
 大規模修繕、建て替え時の施設整備補助金制度撤廃

 

⑤低い社会的認知度
 自治体職員、介護支援専門員、地域住民から重要性を認知されていない

 

 次に求められる機能として、施設内サービスにとどまらず、施設が立地する地域ニーズに着目したソーシャルワーク(SW)機能(アウトリーチ、エンパワメント、支え合い、短期入所生活支援など)の強化と、地域での連携機能の強化などが挙げられた。

 

 介護保険施行後、介護の個別ケアマネジメントが充実されてきたが、その制度から漏れる多様な問題を抱えた人々の存在が顕在化してきている。

 

 その中で軽費老人ホームには、要介護認定の枠組みから外れる知的障害、精神障害、被虐待等の社会的保護を要する高齢者を地域の中で支援するため、施設で蓄積された生活支援機能を生かすことが強く求められている。

 

 具体的には、地域で生活課題を抱える人に短期入所生活支援サービス等を提供していく機能を持つべきだというものである。

 

 つまり、地域住民や医療・保健・福祉関係者との連携を図りながら、地域の中でソーシャルワーク機能を活用した支援を行うなど、新しい機能を発揮していくことである。

 

 しかし、地域包括ケアシステムの中で軽費老人ホームにこうした機能強化を求めながら、一方で、課題の②、④などで示された運営費減額や再生産制度撤廃といった財政問題を抱えており、方向性と現状とは大きく矛盾する。

 

 そうした矛盾を克服するために、より一層の地域貢献を果たすことを通して、その存在意義を明確に主張していくことが、軽費老人ホームの進むべき道である。今、正念場を迎えていると実感している。

 

 

 

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