問われる当事者性と専門性 精神障害のピアスタッフ急増で

2015年0212 福祉新聞編集部
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集会で話す川村さん(左)と長岡さん
集会で話す川村さん(左)と長岡さん

 精神障害があり、同じような障害のある人に仕事としてかかわる「ピアスタッフ」の動きが活発だ。2014年9月に発足した全国団体「日本ピアスタッフ協会」は昨年12月13・14両日、埼玉県内で集会を開き、障害当事者130人を含む250人が参加した。ピアスタッフは近年急増し、ブームだと言われることもある。同協会の原田幾世会長は初日の講演で「ピアスタッフをブームで終わらせてはいけない」と話した。

 

 「薬の副作用でよだれが出るのは女性としてつらいですよね」。障害者相談支援事業所「てれんこ」(仙台市)の相談支援員、川村有紀さんは、自分の服薬体験を相談者に話したことを「体験を差し出す」と表現した。

 

 川村さんは10代で統合失調症を発症。「大学を中退し、人生をあきらめた」。転機が訪れたのは27歳の時。通信課程で精神保健福祉を学んだ際に訪れた「てれんこ」に誘われて就職した。

 

 病気に苦しんだ体験がプラスに働く喜び。体験を押し付けていないかという不安——。「体験を差し出す」という表現はそんな揺れる気持ちから生まれた。

 

 現在30歳。週に3日、非常勤で働く。精神保健福祉士の資格も取った。「当事者性のある専門職」でもあり「専門性のある当事者」でもある。

 

 「ピアスタッフ」と名乗るかどうかは場面によるという。

 

 「てれんこ」では当事者を雇用し始めてから5年がたつ。

 

 所長で精神保健福祉士の長岡千裕さんは「雇用して良かった。当事者は同じ場面を専門職と違う視点で見ることができる。単なる当事者ではなく職員だから安心できるという相談者もいる」と振り返った。

 

 一方、戸惑いがない訳ではない。長岡さんは働く当事者に対し、「雇用主として労務管理する」「専門職として就労を支える」——という二つの顔を持つ。

 

 「専門職はどうしても当事者にいい顔をしたくなるが、雇用主としてモノを言うべき時もある。日本ピアスタッフ協会は、こうした雇用主の相談にのってほしい」と話した。

 

 

➡次ページ ピアスタッフだからできること

 

 

 

 

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