「ダメージ避けられない」 2015年度介護報酬改定に不安の声

2015年0217 福祉新聞編集部
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民主党によるヒアリングの模様

 2015年度の介護報酬改定が決まったことを受け、介護事業者から不安の声が上がっている。

 

 民主党の厚生労働部門会議は9日、関係団体へのヒアリングを実施。全国介護事業者協議会の佐藤優治理事長は「中重度の要介護者や認知症高齢者へのケアが全く評価されていない。厚生労働省が言っていることと報酬に大きな隔たりがある。高齢者へのダメージは避けられない」とした。

 

 介護職員処遇改善加算については、民主党議員や同席した厚労省の幹部に「すべての訪問介護事業所がこの加算を取得できる環境を整えてほしい」と要望した。現在、同加算の取得率は施設に比べて在宅サービスが低い。

 

 在宅サービスは小規模事業所が多く、加算申請の事務負担が重いことが取得率の低い原因とみられている。

 

 特別養護老人ホームを複数持つ社会福祉法人いきいき福祉会(神奈川県)の倉橋譲さんは、「法人の年間収入は現在13億円だが、改定によって6000万円ほど減る」と報告。在宅サービスでの挽回についても「何をやっても無駄という印象だ」と話した。

 

 「医療ニーズに偏りすぎ」と話したのは、居宅介護支援事業所を持つNPO法人ACT・人とまちづくり(東京都)の香丸眞理子理事長だ。「人間はいきなり重度者になるわけではなく、少しずつ状態が悪くなる。それなのに今回の改定は軽度者に対しての考えが何もない」と憤った。

 

 今回の改定では、地域包括ケアシステムの要とされる小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応サービス、看護小規模多機能型居宅介護も基本報酬が減額された。この3サービス共通の「総合マネジメント体制強化加算」(月1万円)は医療との連携が主眼だ。

 

 看護小規模多機能型居宅介護には「訪問看護体制強化加算」(月2万5000円)が設けられるなど、医療色が濃厚になった。

 

 施設サービスでも、老健施設の基本報酬(多床室)の減額幅は特別養護老人ホームよりも低い約3%。介護療養病床は重篤な患者を受け入れる「療養機能強化型(A、B)」を設け、基本報酬は微減にとどめた。

 

 

 全国老人福祉施設協議会は13日、記者会見を開き、基本報酬のマイナス分を加算の取得で取り戻せる大規模法人とそうでない法人の差が生まれるとの見方を示した。特に山間地での在宅サービス事業所撤退を懸念した。

 

 また、改定後の基本報酬をもとに試算すると、赤字の特別養護老人ホームが5割(現在は3割)に増えるとの見込みを発表。同協議会幹部は「これから就職する若い人たちは赤字施設を避けるだろう。介護人材の確保は一段と難しくなる」との見方を示した。

 

 

 

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